「俺と寝るのはどうして?聞かれたら困るだろう?」

宗像は困った顔をした。
その顔が見たかったのかもしれない。
宗像に対して、ちょっとした意地悪をしたい気分だ。
だが、あまり突っ込むと墓穴を掘ることになる。
ただでさえ、真面目な奴だからな。

明け方部屋に戻ると、中瀬が起きていた。
寝られない奴が多すぎる。
「なんで戻って来るんだよ」
中瀬は迷惑そうに言った。
「なんでって、俺の部屋だから」
「目が覚めるじゃないか」
どうせ、起きてたくせに、難癖をつける。

「悪かったな」
とりあえず、謝って、頭をぽんぽんとはたいた。
「子ども扱いするなよ」
中瀬は嫌そうに、俺の手を払った。

いつもなら、気にしないのに、やはり神経過敏になっているのだろう。
そう思っていると、
「宗像は葛西に惚れてるんだよ。秋元に勝ち目はない」
「知ってるよ」
「ならどうして宗像と寝たりできるんだ」
「どうして寝たってわかるんだ?トランプしてただけだ」
「トランプ?」
中瀬はぱっと赤くなって、
「嘘をつけ。こ、声が聞こえた・・・」
「声?俺の?」
「よくわかんないけど・・・たぶん貴様の声だ」
中瀬の目は吊りあがっている。
確かに壁の薄さは問題だ。
たぶん童貞の中瀬には迷惑なことだろう。

「まあ、いいじゃないか。君だって、瀬尾さんとヤる時は、そこのベッド、使っていいよ」
「え?せ、瀬尾さんと?」
中瀬は急にどぎまぎした様子で、右手を心臓に置いた。
「何で僕が瀬尾さんとヤらなきゃなんないんだ!勝手に決め付けるな!」

「まだなんだ?」
俺は言った。






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