「なあ、変だと思わないか?」
神永が言った。

「結城さんがあんな幼女に後を任せて外国に行くって・・・ありえないよな」
「それは俺も思った」
甘利だ。
「だいたい、日本の情報機関に金髪美少女ってありえないでしょ?なにを考えているんだ結城さんは」
と神永。
「そうだよな。なにもかもおかしい。だが、あの幼女。仕事はできる・・・」
小田切がそういうと、一同は顔を見合わせて、頷いた。
「そうなんだよ。それが一番変なんだ。俺たちを統率して、全然違和感がないんだ。規律は寧ろ厳しくなって、さぼりづらくなった」
「なんか、結城さんに似てるよな、あの子」
「やっぱり隠し子か!?」
神永が身をのりだす。それを三好はじろりと睨み、
「似ても似つかないよ」
「わからないぞ、ドイツにいたとき、ドイツ美女とできて・・・」
神永はいいかけて、やめた。三好の反応があまりにも冷たかったからだ。
「結城さんは何処へいったんだろう」

結城はその様子を影から眺めていた。
動揺しているな。まあ、それは致し方ないかもしれない。
自分だって、なぜ幼女になったのか、果たして、何の為に・・・。
これは悪い夢なのだろうか。そう自問していた。
いっそのこと、自分は結城だと告白したほうが早いか。
だが、一体誰がそれを信じてくれるというのか・・・。

「まさか、あの幼女が実は結城さんってことはないよな?」
神永だ。神永、ナイス!
なかなか鋭いぞ。
「アホか。結城さんは変装の名人だが、いくらなんでもあんなに小さくなれないだろう。魔法でも使わない限り」
甘利だ。甘利、アホは貴様だ。
「魔法か。魔王だけに・・・魔法も使うかもしれませんね」
実井だ。実井、貴様はなかなか出来る子だ。飴をあげよう。
「現実逃避もたいがいにしろ。あんなちっこい結城さんがいてたまるか。結城さんはもっと品があって、頭だってずっといい。あんな小娘・・・」
三好〜。
貴様だけはわかってくれると思っていたのに・・・。

結城はショックを隠しきれなかった。






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