激しく波打つようにうねる背中に舌を這わせた。
そうする度に、繋がっている場所がきつく締まって、どちらのせいだか分からない熱が溢れだした。
初めての感覚は俺を狂ったように操って、なにがなんだか分からないままに、ご主人の身体に深く打ち付け続けた。
ご主人は、苦しそうな声で鳴きながら、もっともっとと俺を煽って求めて、・・・俺は・・・。


ガタガタと雨戸を開ける音に目を覚まし、庭に下りる足音を聞いて、俺は小屋の中から顔だけ出して外を伺った。
いつも「おはよう、辻」と言ってご主人が餌を持ってきてくれるこの時間が好きだ。
少し気だるげににっこり笑ってくれるご主人に会えるからだ。
しかし今日はご主人は来てくれず、代わりに結城さんが無言で餌の入った皿を小屋の前に置いた。
ご主人は、どうしたのだろう。
怪訝に思って結城さんの顔を見上げると、無表情の結城さんと目が合って、身体がすくんだ。

「祭りの土産だ」

そう言って、いい匂いのする鶏肉の入った皿を勧めてくれる。
そうだ、昨日はご主人は結城さんとお祭りに行ったんだった。綺麗な浴衣姿で・・・。俺が人間になってご主人に触れたあの記憶が溢れ出す。しかし、あれは夢だったのか。
そうだ、俺は犬だ。耳も尻尾もある。あんなすべすべした肌は俺にはない。あれはただの夢だったんだ。
夢だったとは思っても、俺はまっすぐ結城さんを見ることが出来なくて、目の前の餌に食いついた。
それでも頭の奥から次々と浮かび上がってくる記憶はあまりにもリアルで、扇情的で。とても鶏肉なんかに集中できなくて、俺はつい顔をあげて結城さんを伺い見てしまった。
ーーー!
結城さんはまだ俺を見ていた。俺の後ろめたい気持ちを見透かしているような瞳に震え上がる。餌を食べることも出来ず固まっていると、口元を歪めて結城さんが言った。

「残念だが三好は今日は降りてこれんぞ。今、仕置きをしているからな。それが終わったら・・・、貴様の番だ」






















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