バンガローは林の奥に5軒ほど建っていた。
周囲に人気はなくて、鍵は開いていた。

「こんなところに連れてきて・・・」
福本は黙ってランプに火を入れた。
周囲はわずかに明るくなった。

「おい、無視かよ・・・なんの真似だ?」
「12の時から独立しているという話だったが、子供が生きていくのはラクじゃないだろう」
「それが、なんだよ」
福本は後ろ手で鍵を閉めた。

「金に困ったら身体を売るか、薬を売るか、ふたつにひとつだな」
「ヤクは、やらない・・・」
「奇麗事だな」
ゆらりと、福本は近づいてきた。壁に手をつく。
値踏みをするような視線で、俺を見つめた。

「波多野と・・・つりあわないって言うのかよ」
「そうだな。近づいて欲しくない」
「そんな・・・」
「よく見れば貴様もなかなか可愛い顔をしているな。なるほど、真島の息子、か」
顎に手をやり、くいっと持ち上げる。
俺は精一杯睨みつけたが、通じないようだった。
この男は壁みたいだ、感情のない。
闇のような暗い目をしている。

気づいた時にはキスをされていた。
深く、情熱的で、受けている俺の腰はがたがたと震えだした。
くそ、支えろ、腰。
負けるものかと足を踏ん張り、壁にもたれながら、口の中を蹂躙するに任せた。

「・・・抵抗しないんだな。慣れているのか?こんなことは」
福本は唇を拭いながらつまらなそうに言った。
「抜かせ・・・たいしたことじゃないから・・・」
そう言った途端、今度は固い木の床に押し倒された。
「なるほどな。キスくらいじゃ、物足りないわけだ」
「ヤクザの息子を・・・舐めるなよ・・・」
言い終わらないうちに、また唇を塞がれた。
そのまま手は背中に滑り込み、俺の尻を直接撫ぜた。
ゾクリと背中が粟だった。この男、本気で俺を犯そうとしている・・・。

「いくらだ?俺が買ってやる」
福本は意外なくらいの強い力で俺の腕をねじりあげた。
「俺はそんなに安くねーよ・・・おっさん」
歯を食いしばるようにして、俺は福本を睨みあげた。












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