「やけに小田切さんに見惚れていたな」

真島が不機嫌に言った。
「蚊に刺された!」
僕が言うと、
「天井が破れてるんだから仕方ないだろ。俺が舐めといてやるよ」
と言う。
「みのるがあんたに刺されないかが一番心配なんだよ」
と司。
「部外者は黙ってろ」
と真島。

天井を見上げると、星空が掻き曇って、怪しい雨雲がかかってきた。
と、携帯が鳴った。
『みのる君?小田切だけど』
「あ、小田切さん、さっきまで満天の星空だったのに、雨雲がかかってきましたよ!すごい!小田切さん、預言者ですか!?いろいろ教えてください!今そちらのテントお邪魔しますね♪」

「おい、待て、なに勝手なこと・・・わかったよ。行きたければ行けよ。畜生」
真島は不機嫌に言った。
「え〜?一緒に行かないの?」
「行かない」
真島はそっぽを向いて、そのまま寝転がった。

僕は仕方なくひとりで、小田切さんのテントに向かった。

☆☆☆☆☆

波多野が出て行った後、気がつくと司は眠っていた。
ち、いい気なもんだ。
俺は何度も寝返りをうち、波多野と小田切のことを考えていた。
と、
「真島、みのると小田切に追い出された。貴様は俺と来い」
いきなり福本が現れて、俺の手をひいた。
「え?来いって・・・一体どこへ・・・」
よくわからないながらも、手を引かれて、俺は外に出た。
ぽつりぽつりと雨が降り始めている。

「ここはバンガローも借りられるんだが、知っていたか?」
福本の口元はにやりと歪んだ。











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