司の家に行くと、司が外で待っていた。

「みのる、久しぶりだな!タオルとパンツさえあればいいだろ?」
「急に誘ってごめんね。足りないものは貸すよ」
「歯ブラシがないから、コンビニとか寄ってくれれば、助かるよ」

司は、綺麗なシャツとズボンで、社会人らしい調えられた前髪をしていた。
「なんか、大人っぽくなったね」
「そうか?まあ。それなりに」
その時ドアが開いて、ゆっくりと真島が降りてきた。

「あっ、はじめまして。司タクミと言います。今日はよろしく」
「真島です。よろしく」
真島は司を一瞥しただけで、車に戻った。
「お前の友達、背が高いな・・・イケメンだし」
「そう?・・・うん、まあ・・・そうかな」
「なんか怒ってる?」
「いや・・・いつもああなんだ」
僕は嘘をついた。

真島は感情の起伏が激しい。芸術家体質なんだ。
だけどなんで、司を呼んだんだろう。人懐こいほうじゃないのに。
僕は助手席に座り、司は後ろに乗り込んだ。
「どこに行くの?聞いてなかったな」
「軽井沢」
「長野?遠いな」
「途中で休憩がてらご飯でも食べようよ」
「波多野、前向いてろ」
真島が急に言った。
僕は慌てて前を向く。

「飯か〜・・・なに食べよっかな。みのるは中華が好きだったよな」
「え?僕は何でも食べれるよ。司の食べたいのでいいよ」
「俺?俺はみのるの食べたいのでいいよ」
「蕎麦だ」
真島が口を挟んだ。
「蕎麦もいいね」
司が言った。
「あれ、でもみのるは確か蕎麦アレルギーじゃなかったっけ」
「そうなのか?」
真島に言われて、僕はちょっと俯いた。
「ごめん。そうなんだ。昔発作を起こしたことがあって」
「さすが幼稚園の幼馴染。詳しいんだな」
真島は低い声で言った。












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