「波多野、本当にママは大丈夫なのか?」

キャンプに行くので待ち合わせをした駐車場で、真島は尋ねた。

「大丈夫。ママには司もいるって言っといたから」
「司って・・・誰?」
「幼稚園の幼なじみ。もう社会人だけど」
「ふーん・・・」
曖昧に頷いて、真島はちょっと不機嫌そうな顔をした。

それから車に乗り込んで、出発したけど、真島は黙りこくったままだ。
「音楽でも聴かない?」
僕が言うと、真島は黙ってラジオをつけた。

『は〜い、ドライブデート途中の皆さん、今週はこんな歌をお届けします♪』
軽快なおしゃべりとともに、耳慣れた曲が流れ出す。
良かった。
真島が不機嫌でも、音楽があると場が和む。
そう思っていると、
「社会人てなに」
「え?ああ、司のこと?なんか小さな会社の営業だって。広告関係」
「ふ〜ん」
「本当に呼べば良かったね。司、キャンプとか好きそうだし」
「別に呼べば?」
真島が言った。
「え?今から?」
「土曜日だし、もし暇だったら行くかもしれないだろ」
「そりゃそうだけど・・・じゃあ、ラインしてみる」
僕がラインすると、返信はすぐに来た。
『まじで?行きたい。待ってる  司』
「行くって。じゃあ、そこの角を曲がって・・・」
僕が言うと、真島は、
「お前、そんなふうにいっつもそいつとラインしてるわけ?」
と尋ねた?
え?意味が分からない。
「まあ、友達だから・・・」
「友達っつっても幼稚園のだろ?もう相手は社会人なんだし、接点ないんじゃねーの」
「・・・そんなことないけど・・・」
僕は不安になった。
「じゃあ、呼ぶのやめる?喧嘩になってもあれだし」
「ならねーよ。大勢のが楽しいだろう」
不機嫌そうに真島が言って、カーブを切った。












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