目を開けると、田崎が自分の手についたのものを舐めているところだった。

「なぜ、貴様がそこまでする?」
「・・・君のメンタルと体調管理も俺の仕事のうちだからね、・・・目を開けちゃだめだよ」
田崎に目をふさがれると、再び闇が訪れた。

「本当に貴様だったのか?」
「どうかな・・・相手が俺じゃ、いけないかい?」
「真に迫っていた」
「少し黙って。・・・そう、いい子だ・・・」

カチャリ、と金属音がした。ベルトを外したのだろう。
「腰をあげろ」
耳元で囁くその声は紛れもなく結城の声だ。
真木は言われるままに腰を持ち上げた。
「・・・っ・・・」

男は指を使い、真木の身体を押し開いていった。
最初は軽い痛みだったが、徐々に刺激は強くなり、やがて真木の呼吸は激しく乱れはじめた。
背中に熱い息を感じる。
それと、外国製の整髪料の香り・・・結城の、使っているものだ。

「ああっ・・・」
こらえきれず、真木は声を漏らした。
「どうした」
声は言う。少しの乱れも感じさせない。
「・・・早く・・・」
このままでは気が狂う。
真木は自分の精神が限界まで追い詰められているのを感じた。

「貴様は俺のものだ。俺だけのものだ・・・忘れるな」

声とともに、指は抜き取られ、代わりに熱い魂に似た何かが突き入れられた。
リズミカルな腰の動きに合わせて、真木は心を手放していった。

結城さん・・・

皮肉に顔をゆがめる結城の姿が、真木の瞼に映った。


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