数日後。外は土砂降りの雨だった。

佐久間は浮かない顔で三好の部屋のドアを開けた。

「どうしたんです?佐久間さん」
「すまない・・・」
「いきなり、なんですか」
「・・・俺はもうお前には・・・」
「?」
「すまない!」
佐久間はそのまま、走って建屋から飛び出していった。

後に残された三好は訳がわからない。
騒動を聞いて、隣の部屋から実井が顔を出した。

「三好さん、ふられちゃいました?」
「・・・彼はなにか勘違いしたんじゃないかな」
三好は努めて平静を装って言うと、彼にしては強く音を立てて、ドアを閉めた。

なんだあれは。
まるで別れ話じゃないか。
どうして付き合ってもいないのに別れ話になるんだ?
考えていると、だんだん腹が立ってくる。

隣の部屋では、実井と波多野、田崎がポーカーをしながら話している。
「やっぱりなー、佐久間は持たないと思ったよ」
と波多野。
「あの結城さんに目をつけられて、D機関で生きていけるわけは無いからね」
と田崎。
「三好は知らないみたいだけど、三好にちょっかいを出して無事でいた奴なんて、うちにはいないぜ。ほとんど病院送りだ」
と波多野。
「なにをされたんだろう」
と実井。
「ミエナイチカラで精神的ダメージを与えたんだろうよ」

「精神的ダメージといえば、三好、振られたの初めてじゃない?」
と実井がおかしそうに言った。

「慰める振りして近づけば、貴様にもチャンスはあるかもな」
と波多野は田崎を振り返った。

「罠にはめる気か?俺は自分が可愛いよ。フルハウス、俺の勝ちだ」




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