僕は食堂に行った。
甘利、田崎、小田切がいた。
「三好。おはよう。こっちに座れよ。(今日も可愛いな)」
と田崎。
「田崎。コーヒー入れたぞ。(まったく田崎はなんだって、三好に構うんだ)」
と甘利。
「おはよう。三好。(・・・福本じゃないのか)」
と小田切。
言葉と同時に心の声も聞こえてきたが、無視だ。
それに、テレパスを使わなくても、顔を見ればその程度は読める。
「結城さんは?」
僕が尋ねると、
「さっき外に出てったが、すぐに戻ると思う。(また、結城さんか)」
と田崎。
外か。新聞かな。
テーブルに座り、朝食を取っていると、結城さんが新聞を抱えて戻ってきた。
「結城さん」
「ああ、三好か」
結城さんは、向かいに座り、新聞を広げた。
僕は唾を飲み込んだ。いよいよ、結城さんの思考が・・・。
(今夜はどんな体位にしようかな)
え?
体位?
朝っぱらから何の話・・・。
(三好の顔をみると、そればっかり考えてしまうな)
ちょっと待て、結城さんは朝からそんな妄想をしていたのか?
「結城さん、朝鮮情勢はどうですか?(何を見ているんだろう、株かな)」
田崎が尋ねた。
「ああ、今のところ異常はない。が、油断はできんな。貴様も準備しておけよ。(やっぱり松葉崩しか・・・)」
「三好、食べないのか?(どうしたんだろう、様子がおかしいな)」
と小田切。
「う・・・うん・・・食べる・・・よ」
僕は急に食欲をなくして、深いため息をついた。