三好をベッドの上に降ろすと、小田切はその脇に座った。
「何か欲しいものはあるか」
「・・・ないよ」
「薬を持ってくる」
小田切は立ち上がり、自分の部屋に戻った。
水と薬を持って戻ってくると、三好は目を閉じていた。
頬が赤い。
「薬を飲め」
眠ったのだろうか、返事はない。
小田切は三好の唇に薬を入れると、口に水を含み、口移しに飲ませた。
三好の唇は、女のように赤く、柔らかい。
結城さんに抱かれた夢をみた・・・
小田切なら、安全だから
三好は誤解している。小田切はため息をつく。
俺は貴様が思うほど、安全でも、朴念仁でもない、ただの男だ。
欲望を煽られれば、何をするかわからない・・・。
今、この瞬間も。
田崎の部屋では、甘利と田崎が向かい合って立っている。
「誰かに見られたら困るって?」
「困るのはお互い様だろ」
「いい加減教えてくれよ、俺がなにかしたか?何を拗ねているんだ」
「写真をみた」
「あ?」
「背広の裏ポケットに、女の写真を隠してるだろう」
甘利と寝た次の朝に、なにげなく背広から見つけた写真。
田崎は嫉妬心を抑えられなかった。
「・・・協力者の写真だ。今度会う」
「え?」
「お前、そんなことで拗ねてたのかよ?俺がどんだけ心配して」
「甘利」
「寝たことのある相手に無視されるのがどんなに辛いか、お前にだってわかるだろうが。お仕置きだな、田崎」
「・・・今日は海で泳いで疲れてる。またにしてくれ」
「やだね」
甘利は田崎の顎を持ち上げて、その切れ長の瞳を覗き込んだ。
「だって、俺たちはいつだって疲れる訓練の真っ只中だからな」
それに、と甘利は言った。
「身体が疲れてるほうが、あっちのほうはよくなるってこともあるんだぜ?」
甘利にいきなり下半身を掴まれて、田崎は眉をひそめた。
「今日は優しくしてやらない。どうやら、優しさってのは、お前には効果がないみたいだからな」
ポーカーフェイスの田崎に一瞬うかんだ躊躇。
甘利は見逃さなかった。