「第一、将校を殺したのはチャイナドレスの女でしょう?僕は男ですよ。確かめますか?」
実井は今度は佐久間の手を、自分の股間に持っていった。
掌に柔らかくて温かい感触。
佐久間は思わず実井の顔を眺めた。平然としている。

「なぜそのことを知っているんだ。俺は娼婦と言っただけだ」
「なぜって」
実井は佐久間の手で自分の股間を弄びながら、
「こういう仕事は、耳が早いんですよ。男は寝物語に何でも話しますからね・・・古来スパイには女を使うのもそのためですよ」

下半身は次第に熱を帯びて、堅く形をとり始めた。
それを見ると、佐久間のものも、ゆっくりと動き始める。

「・・・それに、敵ならまだしも、関東軍の将校を殺して、僕になんのメリットがあるというんですか?個人的な恨みを晴らしているとでも?」
「わからない」
佐久間は正直に言った。

「だが、死ぬな殺すなというのは平時の教えの筈だ。戦時中はまた別なのだろう」
「そう、今は戦時中ですからね・・・鋭いですよ、佐久間さん」
堅く屹立したものを佐久間の腹に押し付けて、実井は佐久間をまたぐように座りなおした。
花の様なかんばせ。澄み切った瞳。
とても、こんな生活をしているものとは思えないほどの・・・。
ピンク色の形のよい唇が妖しく濡れている。

「俺を殺すのか・・・」
「殺して欲しいですか?」

唇が重なった。甘い唾液が流れ込んでくる。佐久間は思わずそれを吸った。

「・・・泊まっていってください」
実井は囁いた。
その言葉を聞くと、佐久間の下半身はジンと痺れた。

その誘惑に勝てる男がいるだろうか?
ベッドのスプリングが軋んだ。
風もないのに、蝋燭の炎が消えた。
部屋の中は真の闇・・・。







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