その日、福本は結城中佐から言いつけられた用を済ませ、夜、寮に戻ってきた。

既に食事が済んで、みなそれぞれ部屋に戻ったり、街へ出たりしているのだろう。静かな廊下を歩いて部屋へ向かうと、角からふらっと出てきた影にぶつかった。
咄嗟に抱きとめると、小田切だった。

「あ・・・、ふくもと・・・」
顔が赤い。
「どうした?小田切。熱があるのか?」
福本が尋ねたが、小田切は黙って福本の襟元を掴むと首元で懇願した。
「部屋へ、いきたい・・・」
小田切の熱い吐息が首筋にかかって、腰にぞくっとした痺れが走った。

「ほら、座って、大丈夫か・・・?」
小田切を福本の部屋へ連れて行きベッドへ座らせ、福本は横の椅子に座ろうとした。
すると、襟元を掴んでいた手に力をいれて引っ張られた。
「おだぎり・・・?ん・・・」
真っ赤な顔をした小田切の顔が近づいて、口付けられる。そのまま舌を絡めてくるから、福本は驚きながらもそれに応えた。

気づけば部屋の中には甘い香りが立ち上って、狂おしいほどだ。
長いキスをしながら、顔が赤かったのは熱のせいではないのか?と考えていたが、その思考も次の瞬間停止しした。
小田切が福本のスラックスのベルトを外して、手を入れてきたからだ。
「な、小田切・・・!どうした?いきな、り!」
突然の刺激に面食らうが、小田切は答えない。
やはり無言のまま、じっと福本を見つめると、熱い吐息を吐き出して、その唇を福本の身体に沿って下へ下へと這わせていく。そして、服の中からゆっくりと取り出した福本の熱の中心を口の中へ誘った。

先日も同じようなことをしてきた。風呂場で。
小田切はどうも俺にされるばかりでは不満なようで、快楽に弱いくせに、俺を気持ちよくさせたいと最近やけに積極的だ。
俺もそれは嫌ではないから、ある程度はされるがままにしていたし、その懸命な姿に愛しさも増した。
だが、今日の小田切はおかしい・・・。
先日に比べて、やけに巧いのだ。
俺がした時のことを思い出して真似しているかとも思ったが、俺のやり方とも違う。どうやって、習得したのか・・・。
俺がその事ばかり気になっていると、小田切は漸く口を離した。
「小田切・・・、お前、一体・・・」
聞きたいことはたくさんあるが、躊躇われた。
すると、小田切が赤い顔を蕩けさせて、
「福本、じっとしていて」
そういうと、服を脱ぎだしたーーー。


何が起きているんだろう・・・。
今、小田切は、俺の上で、自ら腰を振っている。
下から見上げる小田切の身体はピンクに染まっていて、酷く淫靡に乱れている。
先ほど、自分で服を脱いで、ベルトで俺の両腕を頭の後ろで縛ると、俺の目の前で自らの下半身を弄り、後ろを解して、その上俺に跨って、俺のものを自ら挿しいれたのだ。
いつも、ただただ与えられる刺激に身を委ねて喘いでいる小田切に、今は魂まで抜かれそうだ。
恐ろしいほどの快感に、俺は目が眩みそうだった。
「ふく、もとぉ・・・、いい?、ん、きもち、い、か?はぁっ・・・」
息も切れ切れに言う小田切は、見たこともないような野性的な目で俺を見るから、俺は無言のままベルトを外すと、上に載る小田切の腰を掴んで、激しく何度も突き上げ、そのまま小田切の中に熱を放ってしまった。

「すまん、小田切・・・。とめられなかった・・・」
絶叫して倒れこんだ小田切を抱きしめて謝ると、小田切は、嬉しそうに微笑んだ。
「よかった・・・。気持ちよくできたんだな・・・。はぁ・・・。たざきに・・・れい、を、いわなきゃ・・・」

「な、ん・・・だと?」
そのまま、意識を失った小田切を抱きしめながら、俺は呆然と呟いた。













































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