福本の声で囁かれてしまうと、違うとわかっているのに身体が熱くなって、わけがわからなくなった。
耳元で囁く声に従って、後ろに指を這わせる。もう片方は乳首を触る。
恥ずかしいとか、練習だとか関係なくなって、無我夢中で弄くっていると、突然腕を引かれた。


『まだ、目は開けるなよ』
そう言われるから、何をしているかわからなかったけど、田崎は寝転がって、俺を腹の上に跨らせた様だ。
そしてぐっと後ろへ下がらせた。尻に、田崎の熱いものがあたった。
『どうする?』
聞いてくる。
福本の声で・・・。
「ん・・・、ふくも・・・と・・・、はぁ・・・」
『どうする?小田切・・・』
「はぁ・・・いれ、ない・・・」
本当は入れて欲しい。熱い身体を何とかして欲しい。
でも・・・。
『欲しくないのか?』
「・・・っ!」
下半身が疼く。
でも・・・。

俺は大きく息を吐いて、目を開いた。
俺を見上げる田崎が、
「だと思ったよ」
と言って、笑った。


次の日の夜、田崎が食堂へ行くと、福本は無言のまま夕食の支度をしていた。
「手伝おうか?」
田崎はそう言って近づくと、
「いや、結構だ」
と答えた。
そうして、近くにあった昨日の残りの漬け物を入れた小鉢を乱暴にテーブルに置いた。
「これでも食べていろ。手伝いなど、いらない」
いつになく、ギラッとした目を向けて言い放った。

漬け物は、酷く塩辛かった。






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