だが、尋問室で神永の姿を見たとき、俺は言葉を失った。
神永は、頭も身体も手足も包帯だらけで、意識を失っているようだった。
上半身を縄でぐるぐる巻きにされて、椅子に座らされていた。
「特殊な拷問訓練を受けているのか、すぐに気絶するのだよ」
赤毛の男は髭をひねりながら、横目で俺を見た。
その目はグレイで、残忍な光を湛えている。
「どうやら知り合いのようだね?君からも説得してくれないか。知っていることを残らず話す様に。でないと、彼も君も死ぬことになる・・・と」
赤毛の男は、バケツの水を指差した。
「かけたまえ」
俺は、無言でバケツを持ち上げた。
躊躇わずに、神永の頭に水をぶっかけた。
神永はぶるっと身を震わせて、うっすらと目を開けた。
薄茶色の瞳・・・。
その目は俺を映しても、何の反応もなかった。
「・・・俺だ。わからないのか?」
怪訝そうな神永の瞳。
「・・・わからない・・・貴様は・・・」
「俺たち・・・捕まったんだ・・・お前の・・・知っていることを話せ・・・」
「貴様なんか知らない・・・」
「俺はお前の味方だ。お前を助けたい・・・だから」
「俺に、構うな・・・」
「どうやら、ふられたな」
赤毛の男は、乗馬用の鞭を取り出すと、指先で弾いた。
「君の出番は終わりだ。今度はこの鞭に聞く」