「お前を抱きたい」

「はぁ!?なにいってんだ、そんな身体で」

椎名、いや神永は、俺を押しやり、身体を離した。

「冗談じゃない!自分のテントに戻れ。上官命令だ」

「戻る。だが、お前を抱いてからだ」

俺は神永の襟首を掴んで引き寄せると、唇を重ねた。
神永は唇を引き結んで、侵入を拒んでいたが、しまいには俺を受け入れた。

粗末な簡易ベッドに押し倒す。
「やめろ・・・こんなことは」
神永は言った。
「こんなことしても・・・何の意味もない・・・」

「意味は俺が見つける」
俺の手が、神永のシャツを引き裂いた。
相変わらず白い、滑らかな肌が、目にまぶしい。
俺は夢中で口付けた。
「よせ・・・よすんだっ・・・あぁ・・・」

背中が燃えるように熱い。だが、熱に浮かされた俺は、神永に夢中で何も感じなくなっていた。
「やめろっ・・・あんたは・・・今更俺をどうする気だ」
神永は俺の肩に手を置き、逃れるように身をよじった。

「認めろよ。俺に会いに来たんだろう?」
「・・・・・・」
「俺のことが忘れられなくて・・・気が狂いそうだったんだろう?」
「真島・・・」
「拒むふりをしても、そそられるだけだ。素直になれよ、神永」

愛してるんだ。
何度も口にしてきた、安物の愛の言葉が、なぜかこのときはいえなかった。

愛してる。
何度も心の中でそう呟きながら、神永を抱いた。

そうして朝が来るまで、神永を抱きしめて眠った。







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