<波多野の部屋>

実井が鍵を閉めたせいで、波多野の部屋には、もう邪魔するものは入って来れなくなった。もちろん波多野を助けるものも・・・三好は笑顔のままうっとりと波多野をみつめると、左手で波多野の手を掴んだまま、波多野の首に右手をかけた。そのまま、波多野の首筋に赤い唇を近づける。

三好の吐息が首元にかかっただけで、波多野は危機を察知して、おかしな声を立てた。

「ひゃあっ!?ちょおっ!・・・・・・やめろ!」
三好は暴れる波多野を押さえつけながら、依然、うっとりした顔で、波多野の首筋から鎖骨までを舐めていく。
「ん〜〜〜!」
波多野が力いっぱい抵抗していると、
「三好、手伝おうか?」
と、面白そうに実井が声をかけた。
実井が手を貸しては、当然波多野は動けない。

いつの間にか波多野のベルトはズボンから抜き取られ、両手首を合わせてきっちりと巻かれていた。
驚くほど可愛らしい笑顔でそれを眺めると、三好は波多野の下半身を両手でまさぐった。

「おい!お前!俺はそっちは〜やっ?あ〜・・・・・・・!」
波多野が三好の手に合わせて身もだえすると、三好は身体を摺り寄せて、
「かわい〜」
っと波多野の下半身に口付けをする。
顔を真っ赤にする波多野を隣で眺めながら、実井もまた、嬉しそうに、
「ね☆」
と同意した。
三好の躊躇いのない手の動きにイチイチ反応してしまう波多野は、隣にいる実井の嬉々とした視線に体中を赤く染めてもがいた。

部屋の外では、締め出された神永が、扉に耳をつけて、
「おおおおおおおい!波多野、やばくねっ!?」
と興奮して言った。
周りにいる田崎、甘利、小田切、福本には正確には聞こえてないが、時々、扉から離れていてもわかる波多野の喘ぎ声に、中がどんなことになっているのか、想像に難くなかった。田崎は、三好の側にいるのが自分でないことに、不機嫌になって、思わず舌打ちをした。

「あ!あ!あ!・・・・・んはぁ?あ〜っ・・・・・・!」
波多野の声が廊下にまで響いた。
実井はただ見ているだけなのもつまらなくなって、波多野の下半身を責める三好の後ろから、腰を抱き寄せた。
「三好、君には僕がしてあげるよ☆」
三好はうっとりした顔で、実井の申し出を受け入れた。

いつの間にか甘利と田崎も扉に耳をつけて中の声に耳を澄ましていた。
「ええ!?あいつ、何か、今、とんでもないこと・・・・・・」
甘利が目を丸くして田崎を見ると、田崎は扉を睨みつけて、また小さく舌打ちをした。
波多野の声に想像力をかきたてられて、小田切は顔を赤くして壁にもたれた。
「俺、もう限界・・・」

「部屋で休んだほうがいい」
福本が小田切を心配して手を伸ばした。
「大丈夫か?つかまれ」
福本は小田切の背に手を回して、小田切の部屋へ連れて行った。
暗い廊下の先へ二人が消えていくのを見送りながら、
「そのほうが心配だが・・・」
と甘利が呆れたような顔で呟いた。
三好のアレは、やばい伝染病じゃないだろうな?などとありえない事を考えた。

神永も、部屋の中の状況が、自分の想像を超えてきたらしく、
「もしかして俺、勘違いしてるだけかなぁ〜・・・・・・」
と、ため息をつきながら顔を赤くした。

その頃、部屋の中では、実井の協力で、波多野をベッドにうつ伏せに押し倒した三好が、波多野の上に覆いかぶさっていた。

「わぁ!おまえら、・・・ちょっと待て!待てって!」
涙目で暴れる波多野を押さえつける。
三好も実井も、恍惚とした表情で見下ろしながら、
「ふふふ☆」
と笑って波多野に迫っていった。
「ひっ!?うわあ〜〜〜!!!」
たまらず波多野が叫ぶと、その途端、がちゃっと扉の鍵のあく音がした。

「よし!なんとか開いたぞ!」
神永が、片手に針金を持って飛び込んできた。
「おいっ!お前ら!」
三好と実井に怒鳴る神永に天使の羽根を見て、波多野は思わず泪を零し、
「神永〜ぁ」
と呼んだ。が、神永は仁王立ちのまま、
「俺も混ぜろっ!」
と叫んだ。

「・・・さいてー野郎」
甘利が後ろで呆れて言った。全く正論だ。でも、こんなときも自分を崩さない甘利にも田崎は苛立ちを覚えた。
「羨ましいくせに・・・」
田崎は甘利の背中に向かって呟いた。

本当にアレはやばい伝染病かもしれない。















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