「落書き？そんなんじゃぬるいだろ？」
葛西が口を挟んだ。
「やっちゃおうぜ」
「やっちゃおうって、葛西、お前・・・」
「一期生をやり込めるチャンスじゃないか。なにを躊躇う？」
「甘利さんを襲うって言うのか？」
「ああ。皆でね」
葛西の細い目がキラリと光った。

葛西は上着を脱ぎながら、甘利のベッドに近づいた。
そうして、甘利の上に馬乗りになると、躊躇わずにキスをした。
「ん・・・？」
甘利が目を覚まし、驚いて目を見張った。
「か、葛西？なんで」
「誘ったのは先輩のほうじゃないですか。夜中にやってきて」

暗闇の中で俺たちは息を殺している。

「誘ったって・・・まあ、そうとられても仕方ないけど、でも」
「黙ってください。気が散る」
葛西は甘利の服のボタンをひとつひとつ外した。
「待てって。葛西」
「焦らすんですか？」
「そうじゃない。何の真似だ？」
「おしおきですよ。僕らにはテリトリーが大切なんです」

甘利の手足を中瀬が押さえ、反対側を秋元が押さえた。
半裸に剥かれた甘利は、呆然としている。
「前戯は僕がやります。本番は宗像に替わります」
「おい・・・本気じゃないんだろ？」
「これが冗談に見えますか」
甘利の上半身を、葛西が舌で舐めた。
「ひゃっ・・・冷たい」
「汗をかいてますね。少ししょっぱいです」
「冷や汗だ！お、おい・・・お前ら・・・」
「凄い感度ですね。もうこんなになってる」
葛西の舌がだんだん胸から腹、そして下腹部へと降りていく。
葛西が甘利を襲っている。
それを見ている俺の下半身も、少し熱を帯び始めていた。
そして、嫉妬で胸が焦がれた。
だが、葛西の言い分ももっともだ。
俺たちは常に一期生の影のように扱われている。
その不満が、攻撃性となって甘利を襲った。
葛西など、三好の代わりに死ぬところだった。
葛西だって怒っていたのだ。静かに心の中で。そう感じた。