どんどんとドアをノックする者がいた。
ドアを開けると、
「お〜宗像お疲れ〜入ってもいい?」
「甘利さん」
甘利だった。
片手を軽く挙げて挨拶をしている。
「いいですけど、こんな時間になんですか?」
「いや〜実は波多野に追い出されちゃってさ。こっちに入れて欲しいんだ。ベッド開いてるだろ?」
「えっ・・・それはちょっと・・・」
俺が渋るのを尻目に、甘利はずかずかと部屋の奥に突き進んだ。

「悪いな。ここにするわ」
甘利が陣取ったのは、中瀬の隣だ。
中瀬は起き上がって、困ったようにこっちを見た。
だが、相手は一期生だ。断れない。
「まあ、いいですけど・・・」
「サンキュ〜助かった!」
「なんで追い出されたんですか?」
中瀬が尋ねた。
「え?いやその〜ハハハ・・・いろいろあってね」
「喧嘩ですか」
「喧嘩ってほどじゃないんだけどね。一方的に波多野が怒ってて。今日は止める奴もいなかったからな〜」
怒るようなことをしたんだな。なにをしたんだ。

「葛西も宗像も久しぶりだな?まあ、適当によろしく。俺は寝るわ」
言って、甘利はベッドに潜り込んだ。

「どうして断らなかったんだ」
抑えた声で葛西が尋ねる。
「仕方ないだろう。断れなかったんだ」
俺が弁解すると、
「まあこの際、甘利先輩が増えても実害はないんじゃない?どのみち大人しく寝るしかないみたいだし」
と秋元。
「もう寝てるよ。早いね」
と中瀬が言った。

「顔に落書きするってのはどう?」
秋元が囁いた。







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