波多野が自分の部屋に入ると、荷物がなくなっていた。

「あれ?俺の荷物は?」
実井が顔を出した。
「ああ、波多野さん。実は設定に重大なミスが見つかったんですよ」
「重大なミス?」
「設定資料集によると、僕達は実は全員共同部屋なんですよ。ベッドがずらーっと並んでいるだけの、荷物がちょこっと掛けるとこがあるくらいの、大部屋です」
「え?つまり俺たち個人の部屋はなくなったってことか?」
「幻ですよ。こっちへどうぞ。波多野さん」

実井に連れて行かれた部屋は、大部屋だった。ベットが5個ずつ向かい合わせで並んでいる。
ベットに畳んだ布団と枕、枕元の棚に私物入れの箱が置かれ、ハンガーがあるだけの、詰め込み部屋だ。

「・・・まさか、今日からここだっていうんじゃないだろうな」
「その通りですよ。荷物は既に運んであります。窓際ですよ」
「冗談だろ?」
「冗談なものですか。大真面目ですよ」

甘利が顔を出した。
「今日から大部屋だって?まじか〜」
「なんで嬉しそうなんだよ!」
と波多野が突っ込むと、
「だって、皆で波多野を襲えるんだろ?」
と甘利が答えた。
「あ、それ、すごくいいですね」
と実井。
「ふざけるな!!」
波多野はぶちきれた。

「枕投げとかできますよ。修学旅行みたいでいいじゃないですか」
と実井。
「夜はどーすんだよ!!」
と波多野。
「あれ?もしかしてエロいことができないとか思ってます〜?」
と実井。
「い、いや、そうじゃないけど!!でもこれって・・・」
「考えてみれば当然ですよね、軍隊なんだから。陸軍の備品を勝手に持ってきた感じですよね」
「地獄だ・・・」
「落ち込むなよ波多野。俺が襲ってやるから!」
と甘利。
「またそんなこといって。貞操ベルトを嵌められても知りませんよ」
と実井。







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