僕は結城さんに呼び出された。

「女になったそうだな」
僕の顔を見るなり、結城さんはそう言った。

「はい。冗談でも悪ふざけでもありません・・・」

「災難だな、三好」

僕は実井に借りた女物のワンピースを着ていた。
派手なフリルがついていて、ちょっと趣味を疑うような代物だが、仕方がない。
ワンピースはぴったりと身体に合い、あつらえたようだった。

「結城さんの仕業だと言うものもあります」
「俺が?何の為に?」
結城さんは皮肉に口元をゆがめた。
「一種の・・・仕置きだと思います」
僕は答えた。
「残念だが、俺の仕業ではない」
結城さんはそう切って捨てた。

結城さんは杖をつきながら、側に寄ってきた。
そして、耳元に唇を寄せて、
「三好。俺の子供を産んでくれ」
と囁いた。

「は!?」
聞き違いかと思い、鋭く問い返すと、
「聞いたとおりだ。D機関は辞めていい」
そういって、にやりとする。

僕は全身が熱くなった。
今のは・・・まさか、プロポーズか!?

「三好。俺は貴様が女でも構わん。側にいろ」
結城さんの手が僕の肩に置かれた。

こんな展開は予想していなかった。
僕は呆然としたまま、結城さんの顔を見上げていた。
結城さんの視線が、僕の口元に落ちた。
気づけば、口付けを受けていた。






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