変な夢を見た。
自分が、女になる夢だ。胸が膨らみ、身体が丸みを帯びる。
そして、結城さんに、
「貴様なんか知らん」
といわれる。
哀しい夢だ。

夢から覚めて、ぼんやりとした。
リアルな夢だった。
まるで、本当に胸が膨らんでいるような感覚・・・。え?
僕は、自分の胸に触ってみた。ぼよん、というありえない弾力がある。
ぼよん?
僕は自分の胸を見た。二つの豊かな乳房が、確かにそこにあった。
「!!!」
声にならない叫びをあげて、僕はベッドから転げ落ちた。

「無断欠席なんてどうしたんだ?結城さんが心配していたぞ」
やってきたのは、神永だった。
「・・・神永」
声が。
「なんだ、可愛い声だして。女の真似か?」
「違うんだ・・・信じないだろうケド・・・」
「どうしたんだ?暗いな。悩み事か?」
俺は、神永の手を取って、自分の胸に押し当てた。
ぼよん。
「な・・・んのマネだ?誘っているのか?」
「違う!僕・・・僕は・・・女になっちゃったんだ!」
「冗談だろ?胸になんかいれてるんだよな?」
「これを見ろ!」
僕は前をはだけ、神永に乳房を見せた。
「すげー・・・どんなトリック?」
神永は信じない。そうだ。こいつ、案外頭が硬いんだった。
「トリックじゃない、朝起きたら、こうなってたんだ・・・」

「じゃあ」
神永がごくん、と喉を鳴らした。
「下も・・・なのか?」
「ああ。僕の・・・あれは、ない」
「そんな馬鹿な・・・そんなことを信じろって・・・?」
僕は黙って、神永に下半身を触らせた。
「本当だ。・・・確かに、ない」
神永は青ざめた。

「どうしたらいいんだ・・・」
僕は呟いた。





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