しばらくすると、瀬尾さんは勢いよく起きた。

「瀬尾さん?だ、大丈夫か」
「中瀬さんっ?・・・中瀬さん・・・」
様子がおかしい。
何かを探すように視線を彷徨わせたあと、はたと僕を見つけて、
「中瀬さんっ!!」
叫びながら飛び掛ってきた。

いきなりだったので、不意を突かれて、僕はしりもちをついた。
瀬尾さんはむしゃぶりついてくる。
なにがなんだかわからない。
「瀬尾さん・・・!?ちょっと・・・離して・・・」

瀬尾さんにキスされて、僕は後ろに倒れこんだ。
「好きだ〜好きなんです〜貴方のことが〜」
「なにいって・・・」

僕ははたと気づいた。さっきのあの液体、あれは、惚れ薬!?

「瀬尾さん、さっきのあれ、惚れ薬だったのか!?」
「そうですよ〜俺が作った試作品ですよ〜うっかり自分で飲んでしまいましたけどね〜」
「なんだってそんなもの・・・」
「頼まれたんですよ〜ある人に〜」
「ある人?」

D機関にそんなマヌケがいるのか。
僕は見当をつけようとしたが無駄だった。秋元・・・じゃないよな。
「ある人って誰だ」
「誰でもいいじゃないですか〜言ったら殺されてしまいます〜」

瀬尾さんは内勤のわりに力が強い。というか馬鹿力だ。
おまけに柔道の心得でもあるのか急所をついてくる。
押さえ込まれて、僕はほとんど息が止まりそうになった。

「瀬尾さん・・・息が・・・できない・・・」
「あっ・・・ごめ・・・んなさい」
ふっと呼吸が楽になった。
「・・・・・・僕をどうしたいの」
僕は囁いた。
「瀬尾さん、僕を抱いてみる?」






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