<登場人物>
佐久間・・・レベル1の村人。
三好・・・美貌の魔法使い。
実井・・・賢者。冷血。
波多野・・・ネズミ。
甘利・・・犬。

田崎・・・魔王の手下。悪い魔法使い。
小田切・・・魔王の手下。巨人。
福本・・・魔王の手下。魔法学者。
結城・・・魔王。城に住んでいる。

神永・・・宿屋の主人。
真島・・・遊び人。ギャンブルが強い。
<あらすじ>
魔王の仕業によって、世界は雪に閉ざされてしまった。
魔王を倒す為、佐久間は旅立つ。


佐久間がベッドで寝ているところへ、どすん、と何か落ちてきた。
「痛たた・・・!?なんだ!?人間!?」
「痛たた・・・着地失敗か・・・僕としたことが・・・」
「君、大丈夫!?どこから落ちてきたの!?」
「空からですよ。失礼。貴方を探していました」
男は長いケープを纏い、魔法使い然としている。
女のような美しい顔をしていて、唇は赤い。色は驚くほど白い。
男は佐久間の上に乗ったまま、自己紹介をした。

「僕は魔法使いの三好です。はじめまして、佐久間さん。どうぞよろしく」
「そこをどいてくれないか・・・?」
「ああ、失敬。貴方の上は居心地がいい」
三好は佐久間の上から降りると、右手を差し出した。
つられて佐久間が右手を出すと、それをがっしりと握って、
「契約成立。と。これで一緒に魔王を倒しに行けますね」
と言う。
「魔王を倒す!?何を言っているんだ?」

「佐久間さん。貴方はレベル1の村人ですが、これから僕が貴方を鍛えてレベル10の勇者にしてあげます。それでなんとか棒切れで魔物を追い払えるレベルです」
「棒切れで魔物を?冗談じゃない。俺は虫だって殺せないんだぞ」
「威張れることですか?世界は雪に閉ざされて、皆困っています。男なら、なんとかしようと立ち上がるのが本当でしょう。まして、こんな美貌の魔法使いが現れた日には」
「なっ・・・なにを」
三好はからかうように、佐久間の頬に唇をつけた。

「出かけますよ、勇者さん。旅支度をしてください。もっともたいした持ち物はここにはなさそうですけどね・・・」






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