「納得いかないって顔だな」
「別に」

秋元にからかわれて、宗像はむっとした。

「感謝して欲しいけどね。もう、毎晩寝顔を見て我慢しなくて済むだろう?」
「それをいうな!」

宗像は、乱暴に枕を投げつけた。秋元はそれをかわして、
「暴力は反対だ」
にやりとした。
「あんまり苛めると、今度は中瀬と替わるよ。それでもいいの?」
「中瀬と?」
そうなれば、秋元と葛西が一緒に眠ることになる。
避けたいパターンだ。

「もしかして、それが狙いか?」
「なに?」
「貴様も葛西のことを・・・いつもいやに気にかけて・・・」
「まいったな」
秋元は小さく呟いた。

「どうして自分が目当てだとは思わないの?君と寝たかったのかもよ」
「気色悪いことを言うな」
くす、と秋元は微笑して、
「そういう言い方は傷つくな」
「からかうのはよせ。悪い癖だ」
宗像は枕を取り戻すと、自分のベッドに放った。

「葛西に惚れても無駄だよ。葛西は結城さんの犬だ。結城さんに気に入られたくて、三好先輩にそっくりになっていく。動作も、表情も。あれは、本気だよ」
「はしかみたいなもんだ。そのうち元に戻る」
「結城さんが二期生を冷遇するのはどういったわけだろうな」
秋元は腕組をして、壁にもたれた。

「さあな。一緒に過ごした時間が長い分、一期生には思い入れがあるんだろう」
と宗像。
「とりあえずは一人部屋の確保と、風呂の時間を交代制にしてほしいと、願い出てみるか?それとも、貴様には二人部屋のほうが都合がいいのかな」
秋元に揶揄されて、宗像は顔を赤くした。








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