「・・・はっ・・・ああっ・・・」

田崎を犯しながらも、俺の頭の一部は冷静だった。
抱いてみてわかったのは、田崎がひどく感じやすい身体をしているということだ。
甘利が寝かさないというのも、わかる気がする。
田崎を肉体で縛り付けておくには、多少無理をしても抱き潰しておくしかないのだろう。
抱けば抱くほど不安になる。
田崎は、そんなふうに繊細で、問題のある身体を抱えている。

これは、魔だな。

若すぎて跳ね返る身体を押さえつけながら、俺は田崎を攻略した。


疲れ果て、ベッドに横たわりながら、俺は尋ねた。
「田崎・・・お前、年を誤魔化してるだろう」
「・・・なぜ、そんなことを聞く?」
「反応が若い。普段大人ぶっているから気づかなかったが・・・まだ25前だな」
「・・・年の話は禁止事項だろ?」
どうでもいいというふうに、田崎は目を閉じた。

「田崎、貴様・・・甘利が好きなのか?」
「神永」
強く、嗜めるように田崎が言った。
「こんなことは今日限りだ。・・・だから」

関わるなというのか。随分勝手だな・・・。自分から誘っておいて。

「俺なら、一夜限りの都合のいい遊び相手になるって思ったのか・・・」
確かに俺も、さっきまでそれでいいと割り切っていたはずだ。
だが、一度解放された欲望は、とどまるところを知らず、もっと、田崎を征服したいと、俺の心を駆り立てる。

「好奇心だよ。わかるだろう?」
田崎の冷酷な言葉。
その言葉のせいで、俺は攻略に失敗したのだと思い知る。

「なに・・・?」
田崎はその切れ長の目を見開き、戸惑いの表情を浮かべた。
「今日だけなんだろ?まだ、今日は終わっていない」
自分でも、ぎらついているのがわかる。

それはたぶん、傷ついたプライドのせいだろう・・・。
俺は、こう見えて、プライドのお化けなんだ。
どうしてもお前を手に入れてみせる・・・。

俺は田崎をベッドから引き摺り下ろし、床に引き倒した。
驚いた田崎はわずかに抵抗したが、それも止み、あとは俺を呑みこんで、熱い息を漏らした。
セックスは時に人の本性をさらけ出す。
田崎は普段は優しいはずの俺の本性を見て、一体何を思っただろう・・・。

そんな考えが俺の脳裏に浮かんで、消えた。



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