「本気なのか?」

貴様と寝るつもりはない、とあれほどはっきりと告げたのは、ついさっきのことだ。
それなのに、今は、セックスを試してみるか?と俺に尋ねる。

「お前、眠いんだろう・・・」
「2時間ほど寝たから、大丈夫だよ」
田崎は自分の腕を枕にして、身体をこっちにむけた。

「なぜ、気が変わった」
「寝る気になったら、教えてくれと言ったのはそっちだろう?」
「それはそうだが・・・」
田崎の瞳が妖しく光っている。
とりこまれそうだ。

「途中でやめようったって、そうはいかないからな」
「信用ないんだな」
田崎は薄く笑った。

キスをしながら、田崎のシャツを脱がせる。
ボタンをひとつずつ外して、肩をだす。均整の取れた上半身は、早くも汗ばんでいた。
田崎のキスは巧妙だった。
細く、すばしっこい舌が、俺の舌に絡まり、唾液を吸い上げる。

うまいな・・・キス。

脳が蕩けるようなその心地よさに身をゆだねていると、田崎は、
「・・・・・・酒臭い」
と言った。
「ああ。貴様が寝てる間、俺は飲んでたからな」
「どうりで、酔ってるわけだ」
「酔ってるよ。悪いか」

さっきから外そうとしている田崎のベルトが外れない。
「いい。自分でやる」
田崎はそういって、自分のベルトを外した。

「その様子じゃ、無理やり迫られて逃げられなかった、とかいう言い訳はできないぞ」
「甘利に言うつもりはないよ」
田崎は、真剣な顔をした。
「俺が言ったら?」
「・・・神永。俺を燃やす気か?」

俺は田崎のズボンの中に、自分の手を滑り込ませた。
「俺が欲しいのは、これだけだ」
掌から、田崎の鼓動が伝わってくる。
少し撫ぜてやれば、田崎は俺のものになるだろう。
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