阿片が吸いたいな・・・。

家にある阿片は全部結城が燃やしてしまったので、阿片を手に入れるには特殊なルートから高い金で買うか、病院に忍び込んで盗むか、しかない。

僕は近くにある個人病院の、ずさんな警備を思った。
あの程度の施設なら、たやすく忍び込める・・・。

だが、僕は城田くんに監視されている。
城田くんは真面目で、日中は僕に張り付いていて、目を離すことがない。

最近は結城も真面目に帰ってくるし、夜の外出は絶望的だ。

結城は毎晩のように僕を抱くし、抱かれた次の日は僕は半日は使い物にならず、縁側に座ってぼんやりしている。
そうして、ぼんやりと座っている間、僕は阿片のことを考えている。

城田くん。
城田くんが僕のために阿片を取ってきてはくれないだろうか・・・。
城田くんが、時折僕に見惚れているのを、僕が知らないわけではない。
城田くんを燃やして、協力者にするくらい・・・簡単なことだ。

「城田くん、良かったら僕をスケッチしてくれませんか」
笑顔をつくって、僕は城田くんを誘った。
「え?いいんですか」
城田くんの顔はぱっと明るくなった。

「これでも僕は芸術には理解があるつもりですよ。これでいいですか」
僕は浴衣の帯を解き、浴衣を脱いだ。
「え・・・」
城田くんは戸惑っている。

「襖を閉めてください。外から見えるのは困る」
僕に言われるままに襖を閉めて、薄暗い部屋で僕と城田くんはふたりきりになった。

「三好さん・・・僕は・・・」
仰々しく正座をして、城田くんは何か言おうと口を開いた。
「もっとそばにきてください・・・もっと・・・」
城田くんの鼓動が聞こえるくらい、僕らは接近した。
「こんなことをしてはいけない・・・貴方は・・・」
城田くんの顔に、うっすらと汗が浮かんでいる。
その茶色の瞳に、欲望の色を読み取って、僕は言った。

「貴方の好きにしてください」







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