だが、実井の優しさは、俺の身体を見た途端、豹変した。

「・・・ふうん・・・なるほど・・・この痣・・・キスマークですか・・・?」
あ、バカ。
俺の本能は危険を告げていた。
油断した、これは、嵐の前兆だ。

「波多野さん、まさか貴方・・・」
俺の腕を掴む手が、ひどく強張っている。
「やらせたんですか・・・?」
「痛い」
凄い力だ。
指先がぴくぴくと痙攣している。

「痛い?痛いですか・・・?この程度で」
声が低くなる。
俺の腕を掴んだまま、実井は黙りこくった。

「まさか貴方がそれほどマヌケだとは思いませんでしたよ・・・」
しばらくして、実井が言った。
唇を舐めて、ニヤリと笑う。その顔は引きつっている。
「三好さんに入れられて、どうでした?三好さんのものをくわえ込んで、好かったですか?」
耳元で囁くように呟き、ぎゅっと俺の尻を掴んだ。
「丁度良かった。よく慣らされているみたいだから、僕のものも旨く呑み込むでしょうね・・・貴方の下の口は」
「ちょ・・・やめろって!」
実井が俺の尻に爪を立てる。
「おや?拒むんですか僕を?三好さんは受け入れたのに?」
冷ややかな声。
これから俺を抱こうというよりは、殺しそうに思える。
ただでさえ夕べのアレで、俺の身体は疲弊している。
実井のまで受け入れたら、俺は壊れるかもしれない。
「僕は知らなかったんですよ。いつの間にか、貴方は淫乱になっていたんですね・・・僕のせいかもしれませんが・・・」
俺の手を取り、実井は指先を舐めた。
「地獄に落としてあげますよ」

天国と地獄・・・確か同じ場所のことだったな。つまり、人間界。
そんなことをぼんやり考えながら、俺は俺を襲おうとしている実井の美しい瞳に魅入られていた。
















inserted by FC2 system