みのるが幼稚園に行くようになって、実井も大学に戻った。

大学に行きながらみのるの世話もするのだから、ますます忙しい。
俺はますますほっとかれている。

夜、同じベッドに眠る実井の背中に手を回そうとすると、
「やめてください、波多野さん。疲れているんです」
と言った。
「お前、このごろ変じゃないか?」
さすがにカチンときて、俺が囁くと、
「変ってなんです?僕が浮気をしているとでも言うんですか」
「浮気?」
それは考えてなかった。
だが、確かに俺が仕事に行っている間、実井がどこでどうしているかなんて、把握していない。
「なんだよ、それ。浮気、してるのか」
「バカなことを言うのはやめてください。それどこじゃないですよ」
実井はうっとうしそうに、身体をくねらせた。
俺はもう一度腕を伸ばして、実井の身体を抱き寄せた。
ぴったりと密着する。
実井のからだからかぐわしい匂いが立ち上った。

「波多野さん。熱い」
「・・・抱いているだけならいいだろ・・・」
「なにか固いものがあたってますよ」
「・・・・・・」
くそ。
男の身体は正直だ。欲望を誤魔化せない。
実井は身じろぎをして、こっちを見た。
「仕方ないですね。手で抜いてあげますよ」
「嫌だ、おまえの中に出したい」
「波多野さん」
俺は実井を押さえ込み、唇を奪った。
実井はわずかに眉をしかめたが、抵抗はしなかった。

「・・・っ・・・はぁ・・・んっ・・・・あぁ・・・」
実井のか細い悲鳴。
俺は実井の口を塞いだ。
「みのるが起きるだろ。声を出すな」

実井と繋がっている間、俺は実井を支配し、実井は俺のものだと叫びたかった。
俺は実井の器の中に体液を放出し、力を失った実井の身体を抱きしめた。
「中に・・・出すなんて・・・」
実井の恨みがましい言葉も、耳には入らなかった。















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