「俺はつくづく、君の学校の生徒には嫌われるんだな」
真島はそういって、苦笑した。

「なにそれ・・・どういう意味だ」
「言葉どおりの意味だ。三好は元気か?」

三好?
「三好がどうかしたのか」
「・・・俺が君に声をかけたのは、ひょっとしたら、三好の消息が聞けるんじゃないかと思ったからだ。俺は、あいつが忘れられなくてね」
ぬけぬけという。
「三好と貴様がどういう関係にあるんだ?」
あんた、から貴様になった。
ただならぬ事を聞かされそうな気がする。

「間抜けな話さ。向こうから誘ってくるからついその気になったら、その寸前で逃げられた。俺もジゴロは長いが、あんなにコケにされたのははじめてだ」
初めて聞く話だ。
「三好が貴様を誘った?嘘だろう」
あのプライドのお化け、ほとんど自分にしか興味のない高飛車のナルシストが、なぜ街のジゴロなんかを誘ったんだ?
真島は、そりゃ、顔は悪くないかもしれないが、要するにただのジゴロ崩れじゃないか。
「信じないかもしれないが、本当なんだ」
真島は煙草をふかし、ベッドサイドのテーブルのうえの灰皿にもみ消した。

「俺は、女であれ男であれ、あんなにマジになったのははじめてだったんだ。柄にもないことをするなってことだな。今までどおり、女であれ、男であれ、顔を見れば金づるくらいに思っているのが、似合いなんだろう」

真島は、あけっぴろげで、嘘は言っていない、そう感じた。
三好が真島を誘ったとは信じがたいが、あの三好のことだ、たぶんなにかに利用するつもりで近づいたんだろう。
自分の美貌に自信のある三好は、よくそんな馬鹿なマネをする。
恋愛の怖さを、ついには知らないのではないかと疑いたくなる。

「貴様・・・三好の消息が聞きたいなら、バーでおしゃべりすれば済む。なんで・・・」
急に怒りがこみあげてきて、声が掠れた。
「なんで、俺を抱いたんだ」

「君だって、普通に聞いたら教えてなんかくれないだろう。あそこはそういう組織だもんな。君たちは、普通の学生じゃないし・・・それに」

「似てるよ。君も。三好と」

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