「瀬尾〜〜〜!!!」

叫びながら、瀬尾の部屋に飛び込んだら、先客がいた。波多野だ。

「瀬尾〜〜〜!!!貴様っ、鍵を出せ!!」
波多野は、田崎の言っていた貞操ベルトをつけられている。
それを見て、俺は思わずうっとなった。

「甘利・・・元はといえば貴様が!!!」
「は、波多野、落ち着け、まず、落ち着こう」
「これが落ち着いていられるか・・・!!」

「波多野さん、気に入らないんですか?折角SMプレイに使うからって、実井さんから注文を受けて急いで作ったのに・・・」
「気に入るか!!」
「刺激を受けると、微弱な電流が流れて、なんともいえずに気持ちよくなるんですよ〜?試してみましたか?」
「えっ・・・そうなの・・・?俺はてっきり・・・。そんなことはどうでもいい!鍵を出せ!!」
波多野は瀬尾の襟元を掴んで、激しく揺さぶった。

「波多野さ〜ん、鍵は一個しかなかったんですよ〜。それを田崎さんが窓から捨てちゃって〜〜〜」
「なん・・・だと?」
「しかも、黒猫が銜えて逃げるのを見たんですよ〜」

「黒猫!三好の飼ってるやつか!」

「波多野」
俺が呼びかけると、波多野はきっと涙目で俺を睨みつけて、
「こうなったのも、全部貴様のせいだ!!覚えてろよっ」
捨て台詞を吐いて、部屋を飛び出していった。

「瀬尾、俺のは外せるよな?」
「え?外すんですか?でも、治療に必要だって田崎さんが」
「誰が病気だ!」
「だって、性欲異常でしょう?」
「誰が性欲異常だっ!!いいから外せっ!!」
俺が凄い剣幕で詰め寄ると、瀬尾はたじたじとなって、
「だって、田崎さんに言われたんですよ〜。もし、甘利が来ても、絶対に外すなって・・・ものすごく冷たくて怖い目で・・・刺されるかと思いました〜」
「俺に一生このままでいろってか?」
「甘利さんのマスクは、性欲を感じると、魚の腐った匂いがするような仕掛けになっています。いわば、性欲のマインドコントロールで・・・」
「くだらん解説はいい!結局は不能になるんだろうが!そんなのはごめんだ!」
「さあ〜そこまでは〜まだ実験段階ですから〜」
「人をモルモットにするな!」

俺は思い切り瀬尾の後ろの壁を拳でたたき付けた。






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