くそー、甘利のやつ。滅茶苦茶しやがって・・・。

俺は、翌日になっても起き上がれないくらいだった。
甘利め、抱き殺す気か・・・。

柔和な外見とは裏腹な、サディスティックな面を見せ付けられて、俺は吐息した。
サディスティックな奴が、多すぎる。
自分も例外ではないのだが、俺は攻めるのはよくても、受けるのは苦手だ。
男としてのプライド・・・。

ずたずたになったそれを、必死にかき集めて、なんとか自分を奮い立たせる。
俺は男だ。
チビでも、童顔でも、とにかく男なんだ。
いいようにされてたまるか。


このことが、実井に知れたらと思うと気が気ではなかったが、実井は何も知らないらしく、至って普通だった。
だが、その普通らしさが、空恐ろしいものを感じさせる。
俺は疑心暗鬼になっていた。甘利のせいで、他人を信じられなくなっていたのだ。


夕方になって、部屋に戻ると、なぜか実井がいた。
「やあ。ご機嫌いかが」

「なにしてるんだ?人の部屋で」

「君に用事があって」
背後で声がした。振り向くと、田崎だ。
「田崎まで・・・なんだよ。パーティでも開くのか?」
「そうだよ。君を招待しているよ」
田崎は手を広げた。右手に、見慣れないベルトのようなものを持っている。

俺は身の危険を感じて、思わず逃げ出そうとした。それより早く、実井の鉄拳が俺の頭に直撃した。
脳震盪を起こして、俺はその場に倒れた。

「しまった。手加減するのを忘れた。俺、ちょっと怒ってるのかもね・・・」
実井の独り言めいた声を最後に、俺は気を失った。







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