夜中に目を覚ますと、目の前に佐久間がいた。

「さく・・・」
僕の口を塞ぎ、佐久間は人差し指を立てる。

<騒ぐなよ。これは幻だ>

佐久間は、ゆっくりと掌を離すと、僕の手首を押さえた。
キス。
幻?
確かに、存在するのに・・・。

だが、佐久間は全裸だ。
割れている腹筋が目に入った。そしてその腹の下の・・・。

<あまりじろじろ見るなよ>
佐久間の唇が、耳元で囁いた。

夢だ。これは、現実じゃない・・・。

金縛りにあったように、僕は動けなかった。

<夢だよ。これは、現実じゃない・・・>

佐久間はにやりとした。僕の服のボタンを全て外し、裸の胸にキスをした。

<さあ、どうするかな>
佐久間の手が滑るように背中に回り、尻の形をなぞった。

<お前の尻は割れているな>

「あ・・・当たり前だろう・・・」
僕が赤面するのも構わずに、佐久間の手は縦横無尽に僕の身体を這い回る。
まるで、僕がそこにいるのを確かめるように。

気持ちが悪くなるくらい気持ちがよくて、僕はそれだけでもう、意識を手放しかけた。
「やめろ・・・人の身体を、玩具にするな・・・」

<あっためてるだけだ。お前の身体は冷たいから・・・温めてやる>
佐久間の体重が僕の身体にのしかかり、滾った堅いものが、僕の下半身に触った。

これから始まる行為に眩暈を覚えて、僕はわずかに喉を鳴らした。




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