突然、外に人の気配がした。
軽快な足音は、恐らく哲二君のものだろう。

福本ははっと我に返ると、後ろに指を差し込んでいた小田切の手を強く握った。
そして、後ろ手に小田切のものを掴む。
「うぅ・・・」
小田切の唇から声が漏れる。瞬間、力の抜けた指を引き抜いた。
なぜ・・・?と言いたげな視線が福本を見つめたが、外から聞こえる声でその視線はそらされた。
「どなたか、入っていらっしゃいますか?」
哲二君だ。ガランッと薪を地面に置く音が聞こえる。

咄嗟に声が出ない小田切の肩に手を置いて、
「あぁ、俺だよ」
と福本が答えた。
「福本さんでしたか。お湯加減はいかがですか?」
嬉しそうに返る声。
「丁度いいよ。ありがとう。夕方に他の連中も帰るから、そのときまた沸かしなおして欲しいんだが、頼めるか?」
「はい!承知しました!」
そう言うと、哲二君は忙しそうに小走りに戻っていった。

「気持ちよくないのか?」
少し肩を落として首を傾げる小田切は、自分の身体が福本の身体とは根本的に違うのだということをわかっていないのだろう。
どうしたものかと思ったが、小田切の何気ないその仕草に堪えられなくなってしまった。
「すまん、小田切」
小さくそう囁くと、福本は湯船から小田切をひっぱりあげて、タイルの上に這わせ、小田切の後ろに指をやった。
「なっ!ふく・・・もと、今日は、俺がっ」
抵抗する小田切はしかし、随分前からそうして欲しいのを我慢していた為に、充分に力が入らなかった。
福本の後ろに指を入れながらも、自分がしてほしいという欲求で身体に熱が溜まり疼いてたまらなかったから。
あっさりと福本の責めに弛んでしまった後ろに、小さく吐息した瞬間、福本の熱いものが小田切の中に容赦なく入ってきた。
「な・・・あぁん!」
身体をそらせて、思わず高い声が漏れた。
しまった!
慌てて口を両手で塞ぐと、外の木戸の開く音がした。


「あれ?なんだろ、今の・・・?」
哲二君の声。
小田切は顔を真っ赤にして耐えるが、その様子がまた福本を煽り、身体を揺さぶられる。
「くっ・・・ふ、ぅう・・・、!」
哲二君に悟られたくなくて必死に堪えていると、少しはなれたところから、猫の鳴き声が聞こえた。
「にゃあーん♪」
「あ、ヨル!お前だったんだね。おいで、ご飯をあげよう」
「なあーん♪」
再び木戸の開く音がして、足音が遠ざかる。
ホッとして小田切が手を緩めると、一際強く奥を突かれ、たまらず小田切は鳴いた。


「小田切、猫と同じ鳴き声だぞ」
耳元で囁く福本の顔は色気を湛えて、それだけで、小田切は達していた。





























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