今日も過酷な訓練がようやく終わった。
スパイの養成だからとはいえ、結城中佐の訓練は執拗だ。

今日はまだ雪の残る山林の中で朝から潜伏し続けた。
冬用とはいえ、スーツと外套のまま音も気配も消してただじっと時が過ぎるのを待つのだ。
サバイバル訓練のようだが、敵と対峙するわけではない。
杖をもったままゆっくりと散歩をする結城中佐に昼までただ見つからなければよいと言う、鬼ごっこなのだが、みな昼前には見つけられてしまい、ペナルティを課せられた。
福本と小田切だけが昼まで隠れきることができ、寮へ戻ることを許されたが、他のものは今度は夕方まで続きをするそうだ。風邪くらいで済むだろうか・・・。

「小田切、大丈夫か?」
「あぁ・・・なんとかな。早く風呂に入らないと、身体が凍りそうだ」
「出掛けに哲二君に風呂を焚いておいて貰うように頼んである。二人しか合格しなかったのは予想外だがな」
俺と福本もかなり危なかった。
山林の奥の川を臨む崖の上で、斜面から突き出た木の根にしがみつき、木が折れたら川に転落するようなギリギリの場所で5時間過ごしたのだ。正直、あれを夕方までやっていたら、二人とも死んでいるだろう。

寮に戻ると、二人はとにかくすぐに風呂に入った。
外套も手袋も、全く意味がないほどに冷え切っていた身体を湯に慣らすとゆっくりと湯船に浸かった。
「うっ・・・擦り傷の癖に結構痛いな・・・」
「凍傷になっているんじゃないか?見せてみろ」
小田切を心配して手を取る福本の手も、やはり真っ赤になっている。
「凍傷ではないが・・・後で手当てをしたほうがいいな」
「お前も、酷い手だ。これじゃあ、いつもの美味い飯が食えなくて困る」
小田切は眉をしかめてそう呟くと、福本の手に丹念にマッサージをし始めた。
「どうだ?」
「あぁ、気持ちいいな。とても」
「そうか・・・」
嬉しそうに笑う小田切に福本はそっと口づけた。
「福本、足も出せ」
「?足はいい。俺がしよう」
小田切の提案を断って、福本が小田切の足を掴もうとすると、その腕を小田切が掴んで言った。
「いいから・・・俺がするから、足を出せ」

広いとも言えない風呂場に時折水音が響く。
「福本、昨日は夜出掛けていたか?」
「ああ、料亭まで結城さんを車で迎えに行っていた」
「珍しいな」
「何か用があったのか?」
「いや、用というわけではないよ」

足先から膝、とゆっくりマッサージされて、身体がじわじわと温かくなり、湯船の縁に腰掛けた。小田切は湯から出て後ろに座ると肩から背中、腰へと指圧していく。その心地よさに福本は眼を閉じた。
今日の訓練の時、自分だけでなく、福本もさりげなくサポートして無理な体勢でいたために、体中力が入らない。それが分かるのか、小田切のマッサージがあまりにも気持ちよくて、一瞬寝てしまいそうになった。
いつの間にか小田切は隣から抱きつくように腕を回していて、首筋を舐めると耳の中に舌を入れてきた。
「小田切?」
横目で見るとにっこりと微笑んで、そのまま小田切は福本の前の湯の中に膝をつくと、頭を下げてタオルで隠していた福本の中心を握った。
「小田切・・・!なにを・・・」
驚く福本に小田切は答えない。そのかわりに手に包んだ福本のものに口をつけて嘗めだした。
「やめ・・・そんなこと、しなくていいから・・・小田切・・・小田切!」

突然の行動にどうしたらいいのか戸惑う。
いや、突然でもないのか、以前もそうしようとしたことはあったが、そのときは素直にやめたのに、今日は福本の制止の言葉はまるで聞こえてないようだ。
「ん・・・」
自分のものを咥えて嘗め回す小田切の姿は、見ているだけで下半身に来る。
与えられる刺激が強くはないことにホッとした。
このまま口でイってしまったら、ちょっと情けないように思った。

「もう、もういいから、小田切、な?」
何とか我慢して気持ちを落ち着かせると、不服そうな顔をして小田切が顔をあげた。




















































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