寝室に移動して、思う存分、愛し合った。
だが、俺が攻めていたのは最初のほうだけで、途中で甘利にひっくり返されて、そのあとは、ひたすら責めまくられる一方だった。
同じプレイボーイ気取りでも、やはり場数が違うのだろう。
それに、俺に恋人がいたのは、もう過去の話だ。
やり方を忘れた、とまではいかないが、ほとんど浦島太郎だ。
甘利の慣れた指の前には、屈服するしかなかった。

甘利は分かりやすい男だ。
次の朝は、上機嫌だった。
まだベッドにいた俺のために目玉焼きを焼いてくれ、トーストとコーヒーをいれてくれた。
一方、俺は落ち込んでいた。
酔った勢いで、甘利と寝てしまった。
よりによって、これからも顔を合わせる相手と、まるで行きずりのように一夜をともにしてしまった。それも、古くから知る、仲間と。

甘利は単純だが、鋭い男だ。俺の顔色を見て、
「後悔してるんだな?そうなんだろ」
と言った。
「まあな。お前はしないのか?」
「なんで?ゆうべは凄く素敵な夜だった。そう思わないか?」
真顔でそんな事を言う。
それはそうなんだが・・・。俺も、久々のセックスで、身体の隅々の細胞まで生き返ったような気がした。それでも。
「貴様とは、長続きするとは思えん」
「ひどっ・・・遊びだったのか?」
甘利は俺を責めたが、本気じゃない。
相当楽観的な性格なのだ。その分、俺はネガティブだ。

「貴様はホストクラブのオーナーだし・・・選びたい放題じゃん?」
「ふーん、後悔してるくせに焼きもちは妬くんだな。なかなか屈折した性格だ」
甘利は俺をそう分析した。
「それなら俺も聞くが、もう結城さんのことは諦めたのかよ?あの人、若くなって、フェロモンむんむんだし、そっちのほうが心配だ」
「ゆっ、結城さんはもう関係ない。大昔の話だ。前世だ前世」
「毎日顔を見るってのは大きいよな。今日も会社で会うんだろ?行くなよ」
「無茶ゆうな。俺は仕事だ」
「休めば?今日一日、ソファで俺とセックスしてようぜ?」
「だが断る」
甘利の堕落した誘いに、俺は舌を出した。











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