間宮。
お前はこんなことがしたかったのか?
両手を縛られ、猿ぐつわを噛まされた裸の僕を、陵辱すること。
それが、本当にお前がしたかったことなのか?

間宮は黙って僕の上に乗っている。身体を重ね合わせている。
薄い褌の布を通して、硬いものが、僕のに当たっている。
僕は眩暈がした。
その圧倒的な熱量を、僕に飲み込めって言うのか・・・?

知らず、涙が溢れた。
不本意だったが、僕は泣いていた。
無力な自分。そうして、裏切られた友情。
混乱した僕は、目から涙を溢れさすしか、できることがなかったのだ。

え。
今度は涙を指で払った間宮が、僕の目を白い布で覆った。
見えないと恐怖は倍増する。
「うう・・・」
乱暴に身体を横向きにされて、後ろから一気に・・・。


やがて視界が開けて、猿ぐつわも外された。
目の前には爺の面をつけた男がいた。やはり裸で、白い褌をしている。
「どうして・・・」
声が掠れた。
どうして、僕をこんな目に?
もう、身体も心もずたずただ。

男は仮面を外した。結城さんだ。
何かを口に含み、それを僕の唇に注ぎ込んだ。
酒だ・・・。
男はそれを何度も繰り返した。
「やめて・・・ください・・・僕を・・・溺れさす気ですか・・・」

え?
そのときだった。
強い風が吹いて、吹雪になった。
見覚えのある街・・・東京。ドイツ。ベルリン。ミュンヘン・・・ハメルン。様々な景色、様々な人々が、走馬灯のように僕の頭を駆け巡った。
冬の海を泳ぎ・・・ジゴロの実習を受け・・・皆で<ジョーカー・ゲーム>に興じたあの年。神永、実井、波多野、甘利、田崎、福本・・・そして小田切。
化け物と呼ばれた8人の、束の間の学生生活。
そしてそこにはいつも、魔王・結城中佐の姿があった。
D機関。

「貴方は・・・貴方は・・・」
「思い出したようだな」
結城さんの声は、優しかった。













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