俺は葛西の手を引くと、カウンターを抜け、地下へ向かった。
そして、階段を降りると、葛西をベッドに突き飛ばし、扉に鍵をかけた。

「2度も邪魔が入ったからな。3度目はなしだ」
「なにを・・・」

「君はどれだけ優秀だかしらないが、大学出たてのお坊ちゃんだろう?そんな匂いがプンプンするよ。世間知らずのね」
「貴様っ」

俺はネクタイを解いた。それからシャツを脱いだ。
「僕に・・・触るな・・・」
葛西は、気圧されたようにそういって、視線をそらした。
俺は黙って、葛西の肩を掴むと、ベッドに押し倒した。

本気で抵抗したなら、文化協会の生徒である葛西に分があるだろう。
だが、葛西はわずかに身じろぎしただけで、息を殺している。
若いから、好奇心のほうが先立つのだろう。それで十分だ。
好奇心は一番、セックスの動機になる。

いきなり、目的のものを握りこむと、葛西は眉をしかめた。
「そこはっ・・・」
「もう反応してるのか?気が早いな」
言葉でいたぶると、葛西は頬を染め、
「若いんだから仕方ないだろう・・・!」
と言った。
「悪いが、簡単には逝かせてやらない。君が、逝かせて欲しいと涙ながらに頼むまでね・・・」
「誰がっ」
「うるさい口だ。少し黙れ、気が散る」
俺は再び口を塞いだ。

葛西ははじめ遠慮がちだったが、次第に大胆になり、舌を使って翻弄してきた。
「なかなかうまいじゃないか、どこで習った?」
「キスくらい・・・習わなくても・・・」
「だが相手は女だろう?男ははじめてなんだろう?」
痛いところを突いたのか、葛西はむっとして、押し黙った。
「新婚初夜の生娘みたいに震えている。睫の先が。とても、可愛い・・・」
耳元でささやき、耳たぶを噛む。葛西は声を立てないように唇を噛んだ。

「俺に惚れていると言え。言えば、すぐに逝かせてやる」
「・・・惚れて・・・ない・・・うっ・・・」
葛西は喘いだ。俺が葛西自身を弄んだからだ。
「身体は正直だな・・・」
下半身は熱を帯びて、張り詰めきっている。
少しの摩擦でも、とろりとした蜜が溢れてくるだろう。
だが俺は適当なころあいを見て、愛撫をやめた。

「・・・っ・・・貴様・・・」
葛西が苦しそうに、濡れた目で俺を見た。
その様子があんまりにも痛々しくて、元来優しい俺は逝かしてやりたくなったが、葛西が俺にしたことを思えば、そうもいかない。
葛西は神永を傷つけたのだ。
神永を失うと思うと、足元が崩れる感じがした。
その代償は、払ってもらう。

「俺に惚れているんだろう?だったら、床に這いつくばって腰を上げろ。君を陵辱してやる」
「あああっ・・・!」
俺が葛西を貫いた時、葛西はほとんど気を失いそうになっていた。
彼はおそらく、いままで挫折というものを知らずに生きてきたのだろう。
そして、愛も。
俺は葛西を陵辱しながら、神永を思った。











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