なんだろう。
下半身がぬるぬるする・・・。

ぼんやりと、目を開けた僕は、次の瞬間、がばっと起き上がった。
なんだこれ・・・!?

僕は全裸で、下半身は真っ赤な血が、身体に塗りたくられていた。
血・・・。
僕はそれを指でなぞってみた。この手触り・・・。
違う。これ・・・絵の具だ・・・。

わけがわからず、混乱して、僕は真島を探した。
悪戯にしてもひどすぎる。
だが、真島の姿はない。
とりあえず、絵の具を落とさなきゃ・・・。
僕はシャワールームに入って、蛇口をひねった。
冷たい水が出る。
頭をひやしながら、だけど怒りが沸いてきて、どうにもとまらなかった。
こんなことは初めてだ。
誰かに対して、こんなに腹が立ったこと。
真島は、僕の服を脱がして、絵の具を塗りたくったんだ・・・。
その絵を想像すると、僕は人知れず真っ赤になり、恥ずかしくて死にそうになった。
油絵の具はなかなか落ちない。
僕はごしごしと身体を擦りながら、真島を呪った。

家に帰ると、ママが飛び出してきた。
「みのる!!無事だったのか!?連絡ぐらいしろよ!!」
「ママ」
ママは僕を抱きしめて、強く強く抱きしめた。
「苦しい・・・ママ・・・」
「どこにいたんだ!?パパも探してたんだよ!?」
「友達の・・・家に・・・」
「友達って誰!?司君?」
「ちが・・・新しい・・・真島っていう・・・」
「真島・・・?」
ママはその名前に反応して、僕を抱きしめる手を緩めた。
「真島って?誰なの?」
「同じ大学の・・・学部は違うんだけど・・・」
「真島なんていうの?」
「・・・」
そうだ。僕は真島の下の名前も知らない。
「名前も知らないような人の家に泊まったの?だめよ、みのる。世の中危ない奴でいっぱいなんだから、自分がしっかりしなきゃ・・・」

ママは普段の女言葉に戻って、怖い顔をして僕を見つめた。






















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