「晴れて両思いだな」

真島が言った。
「そうだね」
僕が言った。

曇天の日曜日。だが、風はさわやかだ。

「ひとつ、聞いていいか?」
真島が言った。
「いいよ」
僕が答えた。
「なんで俺たちのデートにお前のママも来るわけ?」


「あら、お邪魔だったかしら」
ママが言った。手にバスケットを持って、綺麗なレースの手袋をしている。
「だって、ママも来たいって・・・」
僕はごにょごにょと言い訳をした。
「別にいいけどよ・・・お前のママ、美人だしな・・・男だけど」
真島はいつもの元気がない。
僕をはさんで、右に真島、左に、ママ。

「おなかすいたでしょ、みのる。ランチにしましょう。みのるの好きなサーモンとクリームチーズのサンドイッチよ」
「ええ?ありがとうママ!」
ママはバスケットを開けると、僕にサンドイッチを手渡した。
「あれ、ママ。真島のぶんは?」
「あら?真島くんも食べるのかしら」
「・・・いただきます」
真島がぼそぼそと言った。
「じゃあこれ。あ、おしぼりで手を拭いてね」
ママは笑顔のバリケードで、真島を威嚇すると、おしぼりを渡した。
「汚い手で触らないで」
「・・・うす」
真島は黙って、手を拭くと、サンドイッチを受け取った。

「お天気はいまいちだけど、デート日和ね。今日はどこへ行きましょうか?遊園地?動物園?それとも水族館?」
「それ、ママの行きたいとこばっかでしょう?」
僕が言うと、
「あら、そんなことないわよ。若い二人にぴったりの場所を探しておいたのよ」

「ママ、ありがとう♪やっぱりママが頼りになるよ」
僕の言葉に、真島は深い深いため息をついた。













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