<別バージョンのエンディング>

女はトイレの側をすり抜けて、裏口の階段に三好を導いた。

「ここなら、誰も来ないわ」
「・・・そうだね」
三好は女が積極的なのに内心驚きながらも、これで手数が省けたと思っていた。
賭けに負けた仲間たちは悔しがっているに違いない。
憂いを帯びた女の瞳。
三好は膝まづくと、女の手の甲に唇を這わせた。

「・・・遅かったな。なにをやっていたんだ」
三好が戻った時、声を掛けたのは甘利だった。
気のせいか、田崎の顔が険しい。

「別に。女を抱いただけ」
三好は答えた。

「・・・最後までやったのか?貴様が?」
神永が驚いている。
「別に普通だろ?」
三好は肩をすくめた。

「俺は貴様を童貞だと思っていたよ」
と実井。
「貴様と一緒にするな。女くらい、12のときから知っている」
「おい、嘘だろ・・・」
小田切の口から煙草が落ちた。


その週はなぜか結城の機嫌がとことん悪く、いつもの倍以上の課題が出された。
「なんなんだよ、一体」
神永が頭を掻き毟った。
「俺らが街へ出かけた日からだよな・・・結城さんがおかしいの」
と甘利。
「誰か余計なことを耳に入れたんじゃないか?」
と田崎がぼやいた。
「余計なことって?」
と波多野。
「三好だろ」
と実井。

「僕がどうかした?」
三好が顔を出した。が、一斉に睨みつけるような視線が突き刺さり、首をすくめた。








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