事務所に行くと、ドアは開いていた。

「失礼します」
一礼して中に入る。
中に結城はいた。

「身体の具合はどうだ?」
「・・・・・・元気です」
なぜ、身体の具合がよくないのを知っているのか。
察しがいいのはいつものことではあるが・・・。

「貴様が居眠りなんて、珍しいからな。身体の具合がおかしいのかと案じたまでだ」
「そうですか・・・」
釈然としない。
まさか。
自分の身体に細工しているのは、この人なのではないだろうか?

突如浮かんだ考えを、三好は打ち消した。
馬鹿な。ありえない・・・そんなことは。
だが、万一そうだとしたら・・・?
「もう下がっていいぞ。何を恨みがましい目をしている」

「いえ、なんでもありません。失礼します」
三好は一礼して事務所を出た。


入れ違いに福本が事務所に入った。
「いい加減本当のことを教えてやったらいかがですか?あれじゃあ、三好がもちませんよ」
「知らないほうがいいこともある」
結城は煙草をくゆらせた。紫色の煙がたちのぼる。

「貴方の恋人ということになれば、三好の身に危険が及ぶといけないという配慮ですね」
「・・・単に一度や二度寝たくらいで恋人ヅラされるのはかなわんからだ」

やれやれ。それなら手を出さなければいい・・・。
福本は声に出さずに、呟いた。








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