実井の野郎っ!

俺はだるい身体を持て余し、一人実井の部屋で悶えた。が、ここでするわけにもいかない。完全にからかわれた。悔しいから盗聴器を仕掛けていこうか・・・。
いや、それじゃあ瀬尾が喜ぶだけだ。
俺は悶々としながら実井の部屋を出た。
若干ふらつく足取りで自分の部屋へ向かうと、廊下の曲がり角で誰かにぶつかった。

「あれ?波多野さん」
「・・・あきもと?」
「ちょ、ちょ、大丈夫ですか?何か変ですよ!?」
「大丈夫、だ」
秋元を押しのけて部屋へ向かおうとしたが、秋元は俺の脇を手で支えて、
「調子悪いんでしょう?こんなときくらい頼ってくださいよ」
と、ひどくエロい顔で言った。

「はいはい、ベッドに横になってね♪」
秋元は部屋に鍵をかけて、それはそれは楽しそうに俺を押し倒した。
こいつ、こんなキャラだったかな・・・。あんまり関わったことないから知らなかったけど・・・。
甘利のような田崎のような・・・演じているのか?
そう、呑気に考えているうちに、秋元の手が俺の両腕を拘束した。
「おい、やめろ!」
そう言ってみるが、力は入らない。

多分俺は、期待しているんだ。実井のせいで俺の下半身は待ったなしだ。だから、仕方がないといえば仕方がない。だが、
「そんなこと言って、して欲しいんでしょう?」
なんてモロに言われては、恥ずかしくて死にそうだ。

秋元が俺のズボンを勝手におろす。嬉しそうな秋元を睨みつけるが、身体はうらはらに疼いて仕方がない。もう、任せてしまおうか、なんて考えも湧いてくる。
「うあ!やめっ!あ!あきも・・・と!」
長い指で触れられると自然と身体が跳ねる。
「ふふっ」
笑顔で顔を近づけてくる秋元が、俺の首筋を舐めてきた。
気持ちいい。このままいかせてくれるなら、それでもいいか・・・。
そう思った瞬間、秋元の指がそのまま後ろのほうへ伸びた。
「あっ!」
溶けそうだった俺の身体に一気に緊張が走った。そこは・・・ダメだ!

☆☆☆☆☆

波多野を一人部屋に残して、俺はそのまま瀬尾さんの部屋に向かった。
ノックもしないで入ると、瀬尾さんは振り向いて目を輝かせた。
「実井さん〜。ちゃんと仕掛けてきましたよぉ。波多野さんの部屋に」
「ありがとう。じゃあ、聞かせてもらおうか♪」
そう。僕は波多野を部屋に連れて行く前に、瀬尾さんに波多野の部屋に盗聴器を仕掛けるようお願いしておいたんだ。
煽るだけ煽って放置したら、きっと波多野は自分の部屋に戻って自分ですることになるはず。
うまく録れるといいな。
盗聴器のつまみを調節すると、雑音の中から波多野の声が聞こえてきた。
『あ・・・!やめっ!』
へぇ。一人で随分激しくするんだ。意外・・・。
『・・・あきも・・・と!』
「え?」
何?なんで秋元?そこは僕の名前を呼ぶとこじゃない?
「実井さん〜。なんで秋元さんがいるんですかねぇ?」
波多野!なにやってるの!
僕は思わず立ち上がると、部屋を飛び出した。

☆☆☆☆☆

ゆっくり焦らすように指が入ってくる。
「やめ、そこは、ほんとにダメだって、あ!」
「そうかな?すごい、気持ち良さそうですよ?」
なんで貴様はそんなにエロいんだ!
身を任せたくなるのを、理性で必死に制御する。
こいつは、2期生だぞ!後輩に入れられてどうすんだよ!
ぐぐっと指が中で探るように蠢く。
いきたい!いきたい!いきたくない!いきたくない!
「やっ!あぁ!んぅ〜!」
いかないように必死に耐えるが、秋元のエロすぎる指の動きに翻弄される俺は、声を抑えることまでできなかった。
「波多野さん、可愛いですね・・・」
吐息混じりにそういわれては、俺の鉄壁の理性も崩壊寸前だ!

☆☆☆☆☆

一人でしている波多野の声を録音して後から愉しむつもりだったのに!何で秋元なんかが波多野の部屋に!
秋元、縛り上げてつるしてやる!
僕は急いで波多野の部屋に向かった。
波多野!秋元なんかと浮気して!絶対ただじゃおかない。
どうしてやろうか・・・!

僕は走りながら波多野の嫌がりそうなことを片っ端からやってやる!と息巻いた。
階段を登って、波多野の部屋の扉に手をかけた。

☆☆☆☆☆

「やめっやめろってぇ〜!」

こいつは2期生だぞ!後輩だぞ!それにこいつは中瀬が好きな筈だ。
中瀬の代わりなんて死んでもごめんだ!
俺は足をばたつかせて抵抗した。
いやだ!いやだ!2期生の、後輩の、他の奴が好きな、秋元なんかいやだ!
こいつなんかより実井がいいっ!

俺が回らない頭で消去法で実井を導き出した時、バタンッと大きな音がして鍵のかかっていた扉が無理やり開けられた。そこに立っていた実井を見て、俺の理性は吹き飛んだ。

☆☆☆☆☆

怒りに任せて無理やり扉を開けると、両手を拘束されて下半身をむき出しにして、秋元に今にも犯されそうな波多野の姿が目に入った。
俺の怒りは秋元なんかより、波多野へ向いていて、僕はまっすぐ波多野に向かっていき、罵倒しようと息を吸い込んだ。その時、涙目の波多野が僕に向かって叫んだ。
「じ、つい!実井!早く、いれて!お前のいれてくれ!」

☆☆☆☆☆

あれ?俺、何て言った?
いきなり静まり返った部屋の中で、俺は情けないポーズのまま考えた。
秋元は、黙ったままベッドから降りると、俯いて、顔を背けて、
「すみません、俺、戻りますね」
と言って、部屋から出て壊れかけた扉を閉めた。肩が小刻みに震えていた。

呆然とする俺の足を、今度は実井が押さえると、それはそれは嬉しそうな笑顔で俺に言った。

「波多野、ごめんね待たせて。すぐいれてあげるよ」


















































































































inserted by FC2 system