インランコンテストの順位は、田崎、小田切、波多野、実井、甘利、福本、神永、三好。
小田切と波多野は目の前にいる。
隣に座っているのは神永だ。

ウイスキーを2本空けると、だいぶ酔いが回ってきた。
小田切が語り始めた。
「俺は貴様に感謝してるんだ。田崎」
「えっ・・・なにを」
「今日はおごるから、飲んでくれ」
「ああ・・・?」
堅実な小田切がおごるとは珍しい。
「感謝なんてすることないぞ。あんなん、デタラメなんだからなあ」
波多野がチーズを齧りながら、気炎を吐いた。
「実井より俺のほうが上ってのはおかしすぎるだろ!?」
「俺もあの順位は恣意的なものだと思う。普通なら三好は上位だろうからな。波多野の言うとおり、実井の順位も低すぎる」
神永が真顔で言った。

「そうだよね。俺が一番インランってのも変といえば変だし・・・」
田崎がそう言うと、全員首を振って、
「あ、それは合ってるから」
「間違いない。誰が見てもそう」
「うんうん。実際にそうだしな」
小田切まで言う。
まあ、小田切は知ってるといえば知っているのだから、言われても仕方がないが、あとの二人は一体何を知ってるというんだ。
田崎は頭を抱えた。

「波多野、何も知らないだろう?」
「なんで?いつも盗聴してるから、貴様のことは詳しいよ、俺」
「神永は?」
「俺?俺は盗聴はしてないけど、見た目からして貴様に投票するよ。色気っていうか、えろいっていうか・・・とにかくアレだね」
「・・・小田切は?」
「いくら感謝しても足りないよ。堅物のトーヘンボクと思われていた俺がインランコンテストで二位になれるなんて、全部お前の☆☆☆のおかげだもんな!」


こいつら結局、インランコンテストの話がしたくて俺に纏わりついてたのか?
あんなものを気にするのは三好だけだと思ってたけど、そうじゃなかったらしい。
波多野もああは言っているが、内心上位に入れて嬉しかったのだろう。

田崎は拍子抜けするとともに、なんだか馬鹿馬鹿しくなって、その日は無意識に大量のウイスキーを胃に流し込んだ。






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