バーの地下2階は物置だが、そこにマットを持ち込んで、簡易ベッドにしている。
店を始めて以来、俺はそこに寝泊りしていた。当然窓もなく、昼でも薄暗い。
かろうじて電灯がつくだけの、殺風景な部屋だ。

俺は店の看板を下ろして、神永を抱きかかえると、その部屋に連れ込んだ。

「この部屋は?物置か?」
お坊ちゃん育ちの神永は、みたままを口にする。
「・・・物置だが、今は俺の部屋だ」
「ここで寝てるのか?」
神永は驚いている。

「心配しなくても」
俺は言った。
「取って喰いはしない・・・」
俺は神永をベッドにそっとおろし、その頬に触れた。

「そんな顔をするなよ。キスするだけだ」
俺は言って、その唇に唇を重ねた。
甘い舌に舌を絡めて、唾液を吸い上げる。
そうしたまま、腕を伸ばして、下半身の輪郭をなぞる。
だが、そこで手は停まった。
これ以上触れたら、停まらなくなる。
そんなぎりぎりのところで、俺は愛撫をやめて、神永の顔色を伺った。

すると、神永はむっとした顔で、俺のネクタイを引っ張り、
「するなら、早くしろ!!」
と、珍しくねだった。
俺は驚いて、
「え!?いいのか!?」
と、間抜けな声を上げた。

「だけど、足が・・・」
「右足の上に載るな。乗ったら殺す」
物騒なことを言う。
「しかし・・・」
足が折れているのだ。無理な体位はできない。

「じゃあ、俺が下になるから・・・お前は」
「言わなくていい。・・・上だな。わかった」
神永は赤くなり、ボタンをちぎるようにして、シャツを脱いだ。

「いや、そうじゃない。お前はあくまで猫だ」
「なんだと?さっき上だって言っただろう?」
「俺の上にまたがれと言っただけだ。誰も入れていいとはいってない」
「俺に命令するなよっ!」
「いい子だから・・・動くな」
「ああっ・・・」
神永が可愛い喘ぎ声を上げた。
まずいな、と俺は思った。
久しぶりすぎて、理性がどうにかなりそうで、足のことまで気が回らない。
それに、神永が痛がれば痛がるほど、俺は感じてしまいそうだ・・・。

堅いマットの上で、俺は神永を腕の中に抱きしめた。
このまま、誰にも奪われることのないように、粉々に壊してしまいたい。
俺は乱暴に神永の身体をゆすり始めた。
上半身をのけぞるようにして、神永はそれに耐えた。
騎乗位とはよく言ったものだ。
今までにないほど乱れる神永を見て、俺はいつになく興奮し、高められた。
既に余裕をなくした俺は、白い身体の中に、溜め込んでいた愛情を注ぎこんだ。
ほぼ同時に果てた神永は、俺のシャツを汚し、中に出した俺を恨めしそうに睨みつけていたが、なにもいわなかった。

俺が神永の額にキスをすると、神永は疲れたように目を閉じた・・・。








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