マラリア。
高熱が出る感染症で、酷い場合は死に至る。
俺は三好から入院している病院を聞き出すと、翌朝、病院に向かった。


「神永っ!」
ガラッと扉を開けると、神永がいた。
足にギプスをつけているが、それ以外はこれといって元気そうだ。

「真島?どうしてここが」
神永は驚いている。だが、それ以上に俺が驚いた。
「足、怪我してるのか!?熱は!?」
「熱?」
俺は驚いている神永の額を触り、自分の額と比べた。
冷たい。熱はないようだ。
「熱は下がっているようだな。だが、安心はできないぞ。一時的に熱は下がるものらしいからな」
「?熱なんかないよ。階段から落ちて足を折っただけだ」
「え・・・でも、マラリアなんだろう?」
「マラリア?誰が」
嵌められた。
三好の笑顔が浮かんだ。あいつ・・・。俺を騙したな。

「三好だよ。俺の店に来て、お前がマラリアだっていうから・・・」
「三好が?なんでそんな嘘を」
俺の反応を見るためだろう。
俺と神永が、ただの友達じゃないことに気づいて、それを確認したってわけだ。
「あいつめ・・・」

「あんたの店ってなんだ?店を持ったのか?」
「え?ああ・・・お前と出会った店だ。前のマスターが辞めたから、引き継いだんだ。それで・・・」
お前を待ってた。
「あの店か。足が治ったら行こうと思っていた」
神永が微笑した。
「どのくらいかかる?」
「一ヶ月だと医者には言われてる。退屈で死にそうだ」
神永は口を尖らせた。
「休暇だと思って、のんびりしろよ」
「他人事だと思って」
「他人事じゃないさ。俺だって一月もお預けだ」
そういうと、神永の頬は染まった。

「あんたはすぐそれだ・・・」




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