バーの地下は、俺が寝泊りしている部屋だ。
マットレスがあるだけの、殺風景な部屋だが、ひとりならこれで十分だった。

電灯を消し、枕もとのランプに火を入れると、ぼうっと怪しげな光を放った。

「ランプは・・・いらないだろ」
「なんで?お前の顔が見たい」
身体も。
神永の整った顔。若くて、いたいけな指先。強く抱いたら壊れてしまいそうだ。

「綺麗だ」
「そんなの・・・女が喜ぶセリフだろっ・・・」
「すまん。つい、思ってることが口から出る」
「なにを・・・」
俺が神永の左足の先を掴むと、神永は怪訝な顔をした。
俺は足先にキスをして、それからおもむろに、足の指を舐めた。
「よせっ・・・」
うろたえて、神永は足を引っ込めようとするが、俺はがっちりと足首を掴んで、離さない。
「そんなとこ・・・舐めるなっ・・・あぁ・・・」
神永の吐息・・・。感じている証拠だ。

足の指を舐めると、それから足首、脛、と舐めていき、すっかり張り詰めている彼自身にたどり着いた。
神永は腕で顔を隠して、動かない。
何度やっても、この行為には慣れないらしい。
羞恥に身体をすくませる神永に、より辱めたいという意地の悪い気持ちが芽生える。
そうすることによって、神永を完全に自分のものにしてしまいたい。
他の人の知らない表情を、自分ひとりの胸に収めたい・・・。

俺が、彼を舐め上げると、彼自身はびくり、と身体を振るわせた。
俺がしばらく様子を伺っていると、
「や・・・めるな・・・」
神永が呻いた。
「やめないよ。焦らしてるんだ」
すると、神永は苦しそうに身体を丸めた。
「焦らすなよっ・・・気が狂う・・・」
俺は神永の身体を押さえつけ、再び神永のものを口に含んだ。
「うっ・・・はぁ・・・」
嬌声ともとれる、神永の声が、耳に心地よい。
「ああ・・・んっ・・・はぁ・・・・・・」
俺は唇で神永を犯し、欲望を口に吐き出させた。

神永はぐったりとして、荒い息を吐きながら、声もない様子だった。
「俺もそろそろ、限界だ。逝かせてくれよ」
耳元で囁くと、神永は頷くかわりに、ぎゅっと目を閉じた。






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