蜜が溢れそうになった先端を、結城さんは口に含んだ。

僕は見ていられなくなって、きつく目を閉じた。
「・・・うう・・・」
猿ぐつわのせいで、声は出ない。
低い、動物のようなうなり声が漏れるだけだ。


ああ・・・。堕ちて行く。
赤い花びらにうずもれた後は、果てしない暗闇の世界だ。
そこは、聖なる水辺につながっていて、水音がする。

身をよじると、手錠が手首に食い込んで、酷く痛い。
「・・・うう・・・」
声が出ないのも苦しかった。

結城さんの舌の動きで、僕のものは沸点に達した。
身体の奥から熱いものがこみ上げてきて、外へと放出された。
ほとばしる熱を全て飲み込み、結城さんが動く気配がした。

猿ぐつわが外された。
急に呼吸が楽になって、僕は眼を開いた。
キス。
キスは、濃厚なビターチョコレートのような味がした。舌が痺れてくる。

キスをしたまま僕の上に乗りかかり、その掌は僕の腰をまさぐる。
既に僕の身体は汗で滑るほどに濡れており、腰のラインを探る結城さんの手つきはひどくエロチックだった。

「・・・ゆうき・・・さん・・・」
結城さんが中に入ってくると、僕は堪え切れずに声を漏らした。
「・・・ああ・・・ぅ・・・」

僕は再び目を閉じた。
全身で、結城さんを感じたかった。
できれば、こんなふうに一方的ではなく、もっと自由に愛し合いたかった。
でもきっと、結城さんは、こんなふうにしか人を愛せないんだ。

支配。
相手の全てを支配すること。
それが、結城さんの愛なのだろう。

貴様を愛したりしない、と結城さんは言ったが、その手つきが、突き入れられた身体の熱が、その言葉を裏切っている。
果てしない欲望の中で、僕の魂を引きちぎろうと、狙っている。

声をたてさせまいと塞いでくる指を、僕は思い切り噛んだ。





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