「俺を愛するものは、皆死ぬ。ジンクスみたいなものだ」
どういう意味だろう。
昔死んだ恋人が僕に似ていた?
俺を愛するものは、皆死ぬ・・・。ジンクス。
「それは・・・僕に、貴方を愛するな、という意味ですか?」
声が震える。
「そうだ」
結城さんは答えた。
かちゃり。
金属音がした。
見ると、右手に手錠がかかっている。
「なにを」
結城さんは自然な動作で、それをテーブルの足に施錠した。
僕はソファではなく、テーブルの上に仰向けになった。
「結城さん!」
「しゃべるな。気が散る」
「やめてください!こんなのは・・・嫌だ!!」
冷たいテーブルの上に仰向けになると、まな板の上の鯉のようだ。
あいている左手を掴み、結城さんは僕の上に馬乗りになった。
「うるさい口だ」
「・・・ふっ・・・」
唇を塞がれる。
冷たい舌が、僕の舌に絡む。甘い蜜が溢れてくる・・・。
あぁ、だめだ・・・。流されてはいけない。
だけど、頭がぼうっとして、正常な思考ができない。
もう、なにもかもどうでもよくなる・・・。
この、唇以外は。
「・・・はぁっ・・・いやです・・・こんなふうに・・・」
「ふ。身体は正直だな」
結城さんは僕の下半身を触り、薄く笑った。
キスされただけで、僕のものは完全にいきりたっていた。
自分でもどうにもならない温度で、それ自身独立した生き物のように鼓動を始めた。
「待ってください」
ベルトに手をかけた結城さんの手を、左手で掴んだ。
「ひとつだけ、約束してください」
「なんだ」
「貴方も、僕を愛さないと・・・」
「いわれなくても、貴様を愛したりはしない」